004 きもだめし
※ほんの少しホラー要素を含みます。
三丁目の空き家には、幽霊が出るという噂。
待ち合わせ時間は、夕飯を食べてから。クラスメイトの数人が、あの家の前で待っている。
「少し早く来すぎたか」
僕は幽霊屋敷と呼ばれるその家の前で、クラスメイトを待った。
でも、待てども待てども、一人も来ない。
「あいつら、怖気づいたんだな」
だいぶ時間が過ぎた頃、僕はそう悟って、一番近いクラスメイトの家を訪れた。
でも、何度呼び鈴を鳴らしても、誰も出てこない。
「家族で出かけたのかな……他の子の家へ行ってみよう」
僕はそのまま、もう一人のクラスメイトの家を訪れた。
そこは明かりがついていたので、僕はそっと、庭から家の中を覗く。
見なれたクラスメイトの顔がある。でも、外へ出かける様子はない。
「おかしいな。約束は今日じゃなかったっけ」
僕は諦めて、家へと戻っていった。だが、どうもおかしい。
「僕の家、どこだっけ……」
無意識に向かった先は、三丁目のあの空き家。
「そうだ、ここが僕の家だったんだ」
一家心中で誰もいなくなった空き家は、幽霊屋敷と呼ばれている。
今も子供の影が、うろついているという。