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363 オセロ
私の中で、何か得体の知れないものがうごめいているのがわかる。
わかっている。それが何者でもなく、私自身であるということを。
だが、その正体の名は知らない。
闇か、悪魔か、怪物か――なんにしても、美しいものではないだろう。
正しいことがしたい。人に優しくありたい。
そんなことは、私じゃなくても思うことかもしれないが、
そう思う反面、おそろしく残虐で醜いものが、私の中にもあるようだ。
漫画の中のキャラクターのように、私の脳裏で天使と悪魔が言い争っている。
辛うじて、私は天使と手を組んでいるはずだが、
いつそれが悪魔に寝返るか、私自身にもわからないのだ。
ならばせめて、私の手で殺してしまおうか。
答えは割と身近にある。
誰の手も借りず、誰にも迷惑をかけないよう、私自身の手で、私は私を殺そうか。
天使と悪魔が、今も脳裏で囁いている。