358 いのち
いのちはどこからくるのでせうか
わたくしが父さまと母さまから生まれてきたならば
わたくしにとっての神は 父さまと母さまといふことにならうか
では 父さまと母さまをつくられたのは
父さまの 父さまと母さま……………………
母さまの 父さまと母さま……………………
それでは あの野の花のいのちはどこからきたのでせうか
花粉をつけたミツバチか それとも運んだ春風か
それでは ミツバチのいのちはどこからきた
あの風はどこから吹いた
そう考えてみると なんといのちといふものは
たくさんのいのちに助けられ 支え合って生まれたものなのか
あなたにも知ることができませう
その途方もない生命の連鎖を
ただ私利私欲のためだけに 誰か人の手によって絶やすことがあれば
いつか私たちを支えるいのちはなくなり 死ぬ
この目の前にある食物の源に かつて魂があったことを忘れずに
私は私が生きるために この生命を有難く食しましょう
そして私が死んだら どうか自然に還れますように 祈る
あなたのいのちはどこからきたのでせうか
今日もどこかでいのちが生まれているといふのに
今日もどこかでいのちが絶えている――