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332 ビューティフルネーム
一番上のお姉ちゃんの名前は、春。
二番目に生まれたお姉ちゃんの名前は、夏。
三番目に生まれた長男の名前は、秋。
四番目に生まれた女の子の名前は、冬。
春夏秋冬、揃いに揃った。
けれどお母さんは、五人目の赤ちゃんを宿している。
「お母さん。五人目の赤ちゃんの名前は何にするの?」
子供たちが訊ねます。
「さあ、どうしましょうかね」
お母さんは優しく微笑み、お父さんは少し悩んでいる様子。
「男の子だったら太郎、女の子だったら花子っていうのはどうかな、オーソドックスに」
お父さんは、半ば諦めたようにそう言った。
「五人目で最後かはわからないけど、一人だけそういう名前なら、大きくなったらスネないかしら」
お母さんは、半ば困ったようにそう言った。
「四季くん」
上の四人の兄弟たち、それぞれのいいところをすべて受け継ぐ形で、赤ちゃんの名前は決められた。
「なに。六人目が出来たら、その時に考えるさ」
今日もこの家には、笑顔が絶えない。