318/371
318 マダムドラキュラ
もともと私は普通の人間でした。
低血圧で太陽が苦手だったのは子供の頃からでしたが、貴族ということもあり、箱入り娘として隠されるように生きてきたのです。
年頃になったあの日、私は彼と出会いました。
彼はどこからともなく現れ、私を連れ去ったのです。
いいえ。私がついていくことを望んだことにもあります。
一瞬にして落ちた恋は、永遠の愛となった。
私は彼の血を飲み、私は人間ではなくなったのです。
彼が人間ではないということは、割とすぐに打ち明けてくれました。
でも私は、恐怖どころか、彼の魅力に取りつかれていたのです。
あれから三百年――。私は彼と今も生きています。
私たちは、永遠の愛を手に入れたということ。
ああ、今日も人の生き血を追い求めては、私たちは二人だけの世界を生き続けるのです。