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291 マリッジブルー
なにをいまさら、迷うことがあるというの。
あなたが大好きなのに、身を震わせるほど押し寄せる、不安。
「結婚」という二文字が、私にいらぬプレッシャーを与える。
永遠を誓っても、結末は違うかもしれない。
あなたは感情を表に出そうとしないから、私ばかりが好きのようで寂しいの。
馬鹿みたい。もっと自信を持てばいいって、私も思ってる。
でも、私の心は沈んだまま――。
ねえ、せめて抱きしめてください。今すぐに。
何も言わなくていいから、あなたの体温を感じさせてほしい。
そんな時、あなたが差し出したものは、眩しいくらいに輝く石。
プロポーズと一緒に渡せなかったからって、苦しそうに微笑むあなた。
きっと無理したでしょう。
こんなことを望んでいたわけではないけれど、やはり嬉しかった。
私の左手の薬指にはめられた、生まれて初めてのダイヤモンドは、
いつのまにブルーだった気持ちを吹き飛ばして、
その眩いばかりの光で、私の心を包んでいました。




