290 ずるい女
大学一年の春、僕はあなたに恋をした。
一つ年上のあなたは、面倒見がよく、他の男からも人気がある。
でも、みんな憧れの眼差しだけで、あなたにアタックするやつなんていないだろう。
だってあなたには、同じ年の素敵な恋人がいるのだから。
あきらめられない僕が、おかしいのでしょうか。
僕は金魚のフンのように、あなたから離れずにつきまとうだけ。
あなたは嫌な顔ひとつせず受け入れてはくれるけれど、
どうあがいても、僕はあなたにとって、かわいい後輩でしかないのですね。
僕の気持ち、とっくに気付いているのでしょう?
あなたはときどき、僕を恋のかけひきの道具に使う。
恋人とうまくいかない時、見せつけるように僕を呼び出す。
でも、あなたの心が僕に向いていないことは、誰が見てもわかりますよ。
それでも僕は、あなたと一緒にいたいのです。
淡い夢でも、いつかあなたが僕に振り向いてくれると信じたい。
必然的に、あなたが弱っているところをよく見ます。
あなたは僕に心まで許しはしないけれど、安らぎくらいは感じてくれていますよね?
僕でよければ、腕でも胸でも、いつだってあなたに差し出すことが出来る。
だからもう、泣かないで。
僕まで悲しくなってしまうから。
あなたが微笑みを取り戻すなら、どれだけ弄ばれたっていいよ。