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278 家畜の男
子供の頃、病気がちだった僕は、母の過保護の元に生きてきました。
それから次第に、勉強についていけなくなったり、勉強が嫌いになったり、友達付き合いに失敗したりして、不登校、ニート……。
学歴だけは必要だと母が言って、名前さえ書ければ卒業させてくれる高校に進学し、通信制の大学に通う。たとえこのまま卒業したって、社会になんぞ適応出来ないことくらい、僕にもわかっている。
僕はどんどん病気になっていく。病気がちだった頃なんてとっくに過ぎているのに、まるで母が操っているみたいに、僕は身も心も病気なんだ。
「ごはんよ」
そう言って、母がファーストフードを僕の部屋の前に置く。
まるで僕は家畜だ。人目を避け、母に守られ、このままどうして生きていくんだろう。誰か連れ出して――と思っても、僕には母以外に会う人がいないんだ。
僕は家畜のまま、料理されるのを待っている。