026 不良少年
校舎の裏で、煙が上っていた。
それを見つけた教師は、すぐさま怒鳴り声を上げる。
「こら! 何やってんだ!」
その声に慌てて、生徒たちが振り返った。そこには、数人の男女がいる。
ここは小学校。まだみんな小学生たちだ。
「おまえたち。何をやってるんだ!」
ある者は煙草を吸い、ある者はポリ袋を持っている。どこからどう見ても、不良だ。
「先生、何かの間違いだよ」
「そうだよ。べつに僕ら、悪いことしてるわけじゃないし」
悪びれた様子もなく、生徒たちはそう反論する。
「悪いことしてるわけじゃない? じゃあその手に持ってるのはなんだ!」
逆上した様子で、教師が尋ねた。
「これ? これは電子タバコ。お父さんのを借りたんだ。水蒸気だから害もないし、もちろん本物の煙草じゃないよ」
「私が持ってるのは、煙草チョコだよ」
「こっちのポリ袋はアロマの匂いが入ってるの。超いい匂いで落ち着くよ」
ぶちっと、神経が切れた音がした。
教師は怒りに震え、大きく息を吸う。
「馬鹿モノが――!」
物凄い勢いで、教師の檄が飛ぶ。
「うわあ! なんだよ。べつに悪いことじゃないって――」
「学校にそんなもんを持ってくること自体いけないだろうが! それに紛らわしいことをするんじゃない。大人になったら、それが本物に変わる危険性もあるんだ。何を考えてるんだ、最近のガキは!」
軽い反抗期を迎えた小さな不良たちは、こうして延々と説教を食らった。
そして法律違反でなくとも、モラルは考えねばならないという教訓を知ることとなる――。