243 シスコン兄×ツンデレ妹
マコトはその日、浮かない顔をしながら朝食を食べていた。
一人きりの食卓。両親は共働きですでに家を出た後なので、一人きりの朝食をとっているというわけだ。
「お兄ちゃん。まだ食べてるの?」
その時、すっかり着替えを終えた少女が入ってきた。マコトの妹、マリである。
「そんなに遅くないだろ」
「そんなこと言って。今日から新学期じゃん。お兄ちゃんは今日から高校生。気合い入れて行きなさいよ」
マリはそう言って、髪をとかし始める。
「マリ。今日から兄ちゃんいないけど、困ったことがあったらいつでもメールするんだぞ。いじめられても黙ってるなよ」
「あはは。マリももう中三ですので。受験あるしそれどころじゃないから。じゃ、行ってきます」
「待て! 俺も行く」
「はあ? いいよ、べつに」
「よくない。高校だって中学の近く選んだんだ。同じ方向だし、一緒に行くぞ!」
「うざい!」
マコトの心配をよそに、マリはグーでマコトの頭を叩いた。
「いってえ!」
「行ってきまーす」
反論の隙さえ与えず、マリはそのまま家を出て行った。
「マリ……兄ちゃん心配なだけなんだよ。可愛い妹に変な虫とかイジメとか……」
そう言って、マコトは静かになった食卓を片付け、肩を落として立ち上がる。
「行ってきます……」
高校新生活。マコトの妹に対する愛情は、高校生活よりも上だ。
その時、マコトの携帯が震えた。マリからのメールである。
『さっきは殴っちゃってごめんね。でもお兄ちゃんのこと、嫌いじゃないんだからね!』
「マリー!」
マコトはその後、全速力でマリの背中を探した。
「げっ。お兄ちゃん!」
「おまえは優しい子だからな、お兄ちゃんが新生活に慣れるまで我慢するとか、そういうことだよな?」
「だから、そういうのがうざいんだよ! このバカ兄!」
マリの拳がもう一度飛んだが、マコトは諦めない。
結局その日も、二人は一緒に通学路を辿っていった。