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233 飾らない君でいて
他人と同じ服。
他人と同じ靴。
他人と同じメイク。
他人と同じ顔。
どうして私は、こんなにもただ流されているんだろう。
本当は、他人と同じなんて嫌。個性的でいたい。自分らしく生きたい。
でも一方で、孤立することが怖くて、同じことをするのが楽で安心する自分がいる。
子供の頃、お母さんに叱られた。
どうしてあすかちゃんみたいに、上手に絵が描けないの?
どうしてちひろちゃんみたいに、自分で髪が結べないの?
どうしてあやこちゃんみたいに、おとなしく出来ないの?
どうして、どうして、どうして――。
私は今、虚ろな目でメイクを落とした。
鏡に映る素顔の顔は、まだ誰かと同じでいる。
ここにお母さんはいないのに、私はいつでも、あの目に怯えているのだ。
大丈夫。飾らない君でいて――。
私は私の心に、そう訴えかける。