表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
183/371

183 マザーコンプレックス

 あなたのために生きてきました。

 あなたの思い通りに、あなたの望むように、あなたの思い描くままに、

 僕はあなたの敷いたレールの上を、脱線することなく今日まで走ってまいりました。


 努力を苦とは思いませんでした。

 マザコンと言われても、つまらないと言われても、気持ちが悪いと言われても、

 親を敬うことに抵抗などありませんでした。


 そんな僕にも、初めて本当の恋と呼べるような、好きな女性が出来ました。

 けれども彼女は、僕のことなど相手にしてくれません。

 そう言えば、あなたは彼女のことを悪いと言うのでしょうか。

 それとも、家柄の問題で、彼女は問題外と言うのでしょうか。


 あなた今日、見合い写真を僕に見せました。

 このまま僕は彼女のことを忘れ、あなたの敷いたレールを走り続けるのでしょうか。

 頑張ることを知らずに、結婚も結婚後のことも、あなたに判断を仰ぐのでしょうか。


 僕には判断力や決断力がありません。

 あなたがリモコン、僕はロボット。

 それがおかしいとも思わなければ、それがいいのだと思い込まされてきました。


 だけど時々、思うのです。

 あなたが死んだら、僕はどうして生きていけばいいのかと。

 そして誰もが口を揃えて言う、僕が異常者だということを、僕はどこかで認めているのです。


 これは、あなたに対するささやかな抵抗?

 それでもあなたは、僕を洗脳し続ける。

 そして僕も、この居心地のいい場所から出たくないために、現実から目を逸らし続けるのです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ