157 初めての感情
※ BL要素を含みます。
僕はあの人が好きだった。
好き、と言っても、同性だし憧れのようなものだと思う。
先生――。
あなたの目の奥にある熱い炎のようなものが、僕の心を掴んで離さない。
「君は僕のことが好きなの?」
ある日突然、先生は僕にそう言った。僕はなんと答えていいのかわからなくなり、押し黙る。
「だって君、いつも僕のことを見ているから」
そう言われて、僕は先生を見つめた。
「先生は、僕にとってのすべてです。憧れというよりもっと大きい……僕は先生みたいな男になりたい。将来は教師になって、先生のようになりたい」
僕にとっても、初めて語る将来のことだった。でも、言いながらしっくりきた。
「それはね……憧れじゃなくて、愛だよ。君」
突然、先生の顔が近付き、僕はその唇で口を塞がれた。
何が起こったのかわからない。女性とすら交わしたことのないその行為は、とても柔らかく胸を震わせ、僕からすべての力を奪う。
「先、生……」
この行為が、今後の僕たちの関係を何か変えることになるのだろうか。
でも、これだけは言える。きっとこれからも、先生は僕の心を掴んだまま。僕は先生の意のままに操られるように、その炎のような目から逸らせないでいるはずだ。
僕はいけない人間に堕ちただろうか。でも、嫌だとはちっとも思わない。むしろ僕は、ずっとあなたにこうしてもらいたかったのかもしれない。
あなたが望むなら、僕は何にだってなれる気がするよ。どうか僕を、あなた色に染めて――。