154 決闘
二XXX年、近未来――。
世界中で拳銃犯罪がはびこる中、日本は未だに銃刀法違反の名残りを受けて、拳銃社会を避けて通れている。だがその中で、長年に渡る不況、愛国心など生まれない政策で、国民は絶望し、海外に移住する日本人が増えてきた。
そんな中で生まれたのが、「飛び道具禁止令」。今まで通り、銃を持つことは出来ないが、日本刀やナイフなどの刃物を持つことは原則許されるようになった。火薬やバネなどの細工などをして飛距離を稼ぐような刃物は禁止。
それは日本人であることの誇りのように、日本刀ブームはあっという間に広がり、同時に実践剣術などの武術教室へ通うのが主流となる。
またその中で誕生したのが、「決闘法」。国に申請し、双方が了承した場合、決闘は受理される。その上で人を殺しても罪にはならない。
「果たし合いだ!」
オフィス街の真ん中で、日本刀を構えるスーツ姿のサラリーマン。公式な決闘のため、野次馬の中に、決闘を見守る委員会員や警察の姿もある。
キーンと、刀が擦れ合う音が飛んだ。
「てめえは前から気に食わなかったんだ!」
決闘を申し込んだ男が、刀を交えてそう言った。
「俺も同じだ。俺のが成績がいいからって、目の敵にしやがって」
「なんだと!」
次の瞬間、決闘を申し込んだ男は、もう一方の手で小型ナイフを取り出し、相手の男に刺した。
「勝負あり!」
委員会員が手を上げ、野次馬たちも沸いた。
勝負はそこで止められ、委員会員は倒れた男に近付く。近くには救急車と普通の車が待機しており、助かる見込みがあれば救急車へ、すでに死んでいればそのまま葬祭場へと持ち込まれる。それもまた新しいビジネスだ。
「おい、果たし合いだ! あっちでも決闘が始まったぞ!」
歓声の沸いた野次馬たちが、すぐに移動を開始する。
カシャン、と刀が鞘に納められる音とともに、別の場所では新たな歓声が上がった。