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152 雨がやんだら
くるくる回る、色とりどりの傘、傘、傘。
くっついたり離れたり、止まったり動いたり。
私はひとり、待ちぼうけ。
店の軒下お借りして、誰を待つやら、誰も待たない。
ただただ上を見上げては、近付く水滴に目を瞑ってみる。
お空はゴロゴロ、灰色の雲が覆ってる。
いつになったら晴れるかな。
そろそろ私も飛び出そうかな。
でもお気に入りの服だし、濡れたら風邪を引いてしまう。
早く雨がやまないかな。
パタパタパタと、雨に紛れて足音が。
隣の軒下に、同じ年くらいの男の子。
目的は一緒。お空を見上げて、タイミングを計ってる。
お空はさっきより明るくなって、向こうの方には日差しも見える。
やがて、くるくる回る、色とりどりの傘、傘、傘。
ひとつ、またひとつと、傘は姿を消してゆく。
雨が小ぶりになったみたい。
さあ、やっと飛び出せるというもの。
恵みの雨よ、太陽よ。
どちらも大切。私は好きよ。
お空を見上げてそう唱えたら、大都会に虹の橋。
あら綺麗。素敵なお空。綺麗なお空。
雨がやんだら、帰りましょ。