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137 「さようなら」という言葉

 「さよなら」という言葉は、あまり使ったことがない。


 友達ならば、バイバイ。

 仲間ならば、またね。

 年上ならば、お先に失礼します。

 年下ならば、お疲れさま。


 そんなあまり使い慣れない言葉を言う時がきた。


 「さようなら」


 私はそう言って、目の前の彼に背を向けた。

 裏切られ、許せない思いでいっぱいになり、私はその使い慣れない言葉を、自然と口にしていたのだが、途端にズシリと胸にきた。


 「……さよなら」


 彼の声が、私の背中に響いた。


 最後通告というか、なんというか……言うのもためらえば、言われるのもきつい。

 でもそれは、今まで自然消滅という形でしか人付き合いを終わらせられなかった私の、初めての別れというものだった。


 「さよなら……」


 私はもう一度、今度はそっとそう言って、街を出ていく。

 今度はなんだか、清々しい思いがした。

 その言葉が、どれだけ美しく、優しいものだとわかった気がする。


 人は何度も、出会いと別れを繰り返す。

 “さよなら”の次は、きっと――。

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