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011 神だのみ

 古都・京都――。

 地方からの中学二年生が、今日もこの町に訪れている。

「次どこだっけ?」

「金閣寺だよ」

「うおー。テンション上がる!」

 班に分かれての自主行動で、少年少女が寺や神社を回る。


「ごめん、私ちょっと、受付行ってくるね」

 一人の少女が、そう言って受付へ向かう。

「また? 三宅さん、さっきも寄ったじゃん。受付」

「御朱印してもらうんだって」

「ゴシュイン?」

 その時、そばにいた少年が、無言で受付に隣接した売店へと向かう。

「おい、斉藤?」

「僕も売店でちょっと買い物。三宅は連れてくから、先に金閣寺行っていいよ」

 斉藤と呼ばれた少年は、売店へと向かっていく。

 残された生徒たちは、渋々そこから去っていった。

「三宅」

「斉藤君? あ、ごめんね。待たせちゃって」

「いいよ。みんなは先に行かせたし。僕も買い物」

「そう」

 三宅と呼ばれた少女は、班を乱している自分に苦笑する。

「終わった? 行こっか」

「うん」

 二人は見知らぬ地、二人きりで歩き始める。

 地元では、取りたてて仲が良いわけでもなかった。

「渋いね。御朱印なんて」

 斉藤が笑う。

「あ……おじいちゃんの影響で。集めるの、癖になってて」

「いいんじゃない? 僕も祖父からもらったことあるよ」

 斉藤の言葉に、三宅は微笑んだ。

「斉藤君は? なに買ったの?」

「僕は御守り。家族みんなに」

「うん。私もさっき買ったよ」

 ゆったりとした波長が、二人の間に流れているように見える。

 斉藤は、買ったばかりのお守りを、鞄に入れる。

「御守りも、いろいろあるのな。自分の分も買っちゃった」

「本当? あ、学業の?」

「ううん。恋愛成就の縁結び」

 鞄に入れる前に一つだけ取り出しておいた御守りを、三宅に見せる。

「え! あ、斉藤君、勉強出来るもんね」

「そんなことはないけど、実力で出来ることは、神様には頼まないんだ。恋愛は、よくわかんないから、神様にすがる!」

 歯を見せて笑う斉藤に、三宅も吹き出した。

「あ、見えた、見えた。金閣寺」

「わあ。すごい!」

「あいつらも発見。合流しよう」

「うん」

 二人は、班の仲間に合流する。

 そこからの帰り道、今度はみんなで寄った売店で、三宅は斉藤と同じ御守りを買った。

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