104/371
104 スプリングマット・トランポリン
キャハハハハ。
子供たちの声が聞こえる。
「ベッドの上で飛び跳ねるのはやめなさい!」
お母さんの声に、子供たちはそれをやめる。
スプリングマットレスの敷かれたベッドは、子供たちの恰好の遊び場だ。わからないでもないのだが、壊れてベコベコになるのがオチである。
「もう。そんなことばっかりするから、壊れてきちゃった……」
お母さんは残念そうに、マットレスの上に座る。
買ったばかりの時は反発力も大きかったのだが、ところどころで沈んでいるところさえある。
お母さんは溜息をついた。
「新しいの買うか……でも、新しくしたら、もう絶対に飛び跳ねちゃ駄目よ」
その日、子供たちは気兼ねなく、マットレスを飛び跳ね回った。
「あらやだ、ちょっと楽しい」
その夜、子供たちが寝静まった頃、お母さんがマットレスを跳ねた。
「お母さん?」
ちょうどトイレに起きてきた子供の目に、ベッドの上で舞うお母さんが映る。
「や、やだ。起きてたの?」
真っ赤になりながら、お母さんは慌ててベッドに座った。
だが次の日、子供が近所中に言いふらしたことは、言うまでもない。