102 明日
明日が来るのが怖い。
学校に行けば、毎日が地獄だ。
虐められ、蔑まれ、叩かれ笑われる。
私が何をしたというの? 答えなんてない。
誰も助けてくれない。
誰も相手にしてくれない。
誰も彼もが、みんな敵だった。
誰も彼もが、私を標的にしている。
明日が来るのが怖い。
先生に相談してみたけれど、
先生も気をつけてみるからと言った。
私が死なないと、先生にはわからないのかな。
明日が来るのが怖い。
親に相談しようとして、やめた。
親が悲しむのを、見たくはないんだ。
私はSOSを、そして考えることをやめた。
もう、やめなよ!
そう言ったのは、勇者だ。
勇者は優等生の女の子だった。
その子の言葉なら、みんな聞いてくれる。
次の日から、私へのいじめはぴたりと消えた。
私は拍子抜けしたように、でも震え、怯えている。
それでもいじめはぴたりと消え、私は初めて平穏を知った。
勇者もまた、私の代わりに標的になるということはなかった。
私はあの地獄のような場所から生還したのだ。
たった一人の勇者の手によって、暗闇の世界から――。
誰もが見過ごしていたいじめ、誰もが参加していたいじめ、
私の朝は、他のみんなと同じように、明日も明後日もやってくる。
明日が来るのが待ち遠しい――。
あの恐ろしいとまで思っていた朝は、
今は私を、明るく優しく、包んでくれる。
私にも朝がくる。そして明日を、生きていこう。