表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生門田ケイスケ君〜チート能力を二つも授かり、女性が全て全裸のハーレム世界に飛ばされたが、俺は視力が悪くて何も見えない件〜  作者: 星狼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/4

白き空間の目覚め

意識が戻ったとき、そこはどこまでも白い空間だった。


光も影もなく、ただ均質な白。足を踏み出そうとしても地面の感触がない。浮いているのか、それとも立っているのかさえ定かではない。服は着ているが、左足の靴下が片方だけなくなっていた。妙に現実的な違和感が、かえって現実感を遠ざける。


「……ここは」


声を出した瞬間、柔らかく、しかしはっきりと響く女性の声が空間全体を満たした。


「目覚めたようね、門田ケイスケ」


視線を上げると、そこに一人の女性が立っていた。

金色の長い髪がゆるやかに揺れ、白銀のドレスが光を反射している。背中には薄く透けた翼のようなものが浮かび、存在そのものがこの空間の白と調和しながらも、明確に異質だった。


「あなたは……?」


「私はこの世界を司る者、リリエルと名乗っている。あなたが今ここにいる理由を説明するために呼ばれたの」


彼女の声には感情の起伏がほとんど感じられなかった。穏やかで、どこか遠い。


ケイスケは喉の奥で息を詰まらせた。

記憶の断片が、突然、鮮明に蘇る。


いつもの時間。いつもの横断歩道。

コンビニの袋を片手に、信号が変わるのを待っていた。

視界の端に、異常に速い影が迫ってくる。

大型トラック。

運転席の男が顔を伏せ、スマホの画面を見ているのが一瞬だけ見えた。

次の瞬間、衝撃。

体が宙を舞い、視界が赤く染まり――


「……俺、死んだのか」


言葉が震えた。自分で言って、初めて実感が追い付いてきた。


リリエルは静かに頷いた。


「ええ。あなたの肉体はこの世界の時間軸において、既に機能を停止している。事故による即死だった」


ケイスケは両手で顔を覆った。

息が荒くなる。胸の奥で何かが締め付けられる感覚。

死んだ。

本当に、死んでしまった。


「でも、あなたにはまだ選択肢が残されている」


リリエルの声が、再び静かに響いた。


「私はあなたを別の世界へ送るつもりでいる。いわゆる『異世界』と呼ばれる場所へ。そこでは新たな肉体を与え、新たな人生を歩むことができる」


ケイスケはゆっくりと顔を上げた。


「……なぜ、俺なんかに」


「それは私にも定かではないの。ただ、あなたの魂がまだ完全にこの世を離れていない段階で、私の領域に流れ着いた。それだけは確かね」


彼女は一歩近づき、透明感のある瞳でケイスケを見据えた。


「転生を望むなら、受け入れる。その前に、あなたの魂に適した『加護』を選ぶための儀式を行う。それを、私たちは『能力の付与』と呼んでいるわ」


空間の中央に、淡く光る円形の台座が浮かび上がった。

その上には、複数の光の球体がゆっくりと回転している。どれも同じ大きさ、同じ輝き。だが、それぞれが放つ気配は微妙に異なっていた。


「これが、あなたに与えられる可能性のある力の結晶だ。触れた瞬間、あなたの魂と共鳴し、最も適合したものが定まる。運でもなければ、努力でもない。ただ、あなたという存在そのものが選ぶ」


ケイスケは台座を見つめた。

喉がカラカラに乾いている。

死んだはずなのに、心臓が激しく鳴っている気がした。


「もし拒否するなら……?」


「このまま消えるだけよ。魂は還り、二度と形を取ることはない」


沈黙が落ちた。


ケイスケは、震える指先で、ゆっくりと手を伸ばした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ