エピローグ
「先生、早く読んで。」
「わかりました。では始めますね。」
昔、昔、日本という国の全能の神アウラーに子供が生まれました。
アウラーは、その子は不幸を招くと気付き、生まれると同時に食べてしまいます。
でも、その直後、アウラーは頭が痛くなり、目からその子が飛び出てきました。
アカリという女の子として。
アカリはアウラーから捨てられ、子供の頃は貧しい生活を送ります。
その時代に、食べ物がないことの苦しみも知りました。
また、友達が1人もいなくて孤独の時間を過ごします。
でも、成人したときにヒカリという素敵な男性と出会います。
ヒカリは常にアカリを暖かく見守り、頑ななアカリの心を溶かしていきました。
そんな中、アウラーが寝ている間に、緑豊かな地球がどんどん砂漠に変わっていきます。
砂漠では農作物が育たず、食料不足が広がっていきました。
アカリは、食べることができない子供達を救いたいとヒカリに相談したのです。
アカリは、アウラーには、怖くて、砂漠化を止めてとお願いには行けません。
そこで、ヒカリにどんな環境でも育つトウモロコシを作らせます。
ヒカリはなんとかそのトウモロコシを作りました。
でも、このことがアウラーの家族に不幸を招きます。
そんなトウモロコシがあれば、だれも不自由がなくなる。
その結果、自分の言うことを聞かなくなると恐れる兄。
このトウモロコシがあれば、食べ物欲しさに誰もが自分に従うという野心をもった弟。
食べ物をただ独り占めしたい姉。
兄弟姉妹が激しい争いを繰り広げました。
でも、アカリの人を助けたいという信念は誰よりも強かったのです。
何回もくじけながら、最後には貧しい子供たちにそのトウモロコシを届けました。
でも、家族で激しい戦いになってしまったことに、目覚めたアウラーは激怒します。
アカリはアウラーの稲妻を受けて倒れます。
でも、信念を果たせたアカリは幸せに包まれ、地面に溶け込んでいきました。
そして、多くの穀物、野菜、フルーツも豊かに育つよう魔法をかけたのです。
その結果、私たちの今の豊かな生活が生まれたのです。
「はい、終わり。面白かった?」
「面白かった。先生、ありがとう。」
「あれ、アンナ、お昼は暑いから外に出ないでと言っているでしょう。」
「だって、ずっと部屋にいるのはつまらないんだもの。」
アンナは、何にでも興味を持つ子。
今も頭の上にある耳を高く上げて、海辺の方から波の音を聞こうとしている。
おねだりするときは、長い尻尾をくるりと回すのが可愛い。
でも、70度を超えるお昼には、屋根の下にいる方がいい。
砂嵐の時や、熱風が吹き付ける時はつらいけど、不自由なく暮らしている。
朝に海水をくみ、火を起こし、トウモロコシを煮る。
お昼には、まわりから入った砂を外に吐き出す。
夜には、雨水を集めるのと、トウモロコシやフルーツ、野菜とかを収穫する。
それで1日が終わるけど、みんなと美味しい食事ができれば幸せでしょう。
この世界にはどのぐらいの人が暮らしているのかは知らない。
横の村でも、歩いて1日以上はかかるから、行ったことはないもの。
年に1回ぐらい、旅人が往来する。
そんな時は、よその村の話しとかを聞いたりする。
その話しでは、みんな同じような生活を送っているみたい。
屋根を柱で支えただけの建物から、永遠と広がるトウモロコシ畑が見える。
その横に果樹園や野菜畑もあり、海辺の先には水平線が広がる。
私は、床に腰をおろし、足を外に出してブラブラと揺らす。
陽の光がまぶしい。
それでも空を見上げると、何一つない青空が広がっている。
これが私の暮らす場所。私の愛する村。
手元にいた鳥が飛び立ち、山々や海岸線を一回りして、先にある集落に飛んでいく。




