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主要登場人物

漆戸 郷……私立栗円ヶ丘高等学校3年生

水野 仁彩……漆戸 郷の同級生

斜め前の席の水野(みずの)が授業中、両足の爪にネイルを施している。


片足は床に踵だけつき、ピンと伸ばして塗り終えた背景である薄い水色を乾かしている。


お尻を椅子の背面の方向に引き寄せ、もう片方の背景が完成している足を座面の隅に乗せ、メインとなる模様を加えている。

もともと太腿までの短いスカートが捲れ上がっていてもお構い無しに次々と爪に蹼足(ぼくそく)を描いている。

まるで小さな水鳥が歩いていったようだ。


実に可愛らしいし、優しい印象を与える。

なんと目の保養のことか。


なめらかで繊細な筆さばきについ食い入って見てしまう。


ふと彼女がこちらの視線に気付いた。


「見てんじゃねぇよ。きめぇな」

絵面とは裏腹に作者である彼女の鋭い視線と言葉が飛んでくる。


胸の内が痛んだが、確かに女子の生足をじっと見ている(ネイルを見ていたんだが)のはきもい。

咄嗟に目を逸らし、

「…ごめん」

そう謝罪の言葉が溜息を吐くように自分から出てきた。


「別にマジで言ったわけじゃねぇし。ゴ…漆戸(うるしど)もいちいちしょげんなし…」

彼女は俯いて顔を赤らめながら言ってきた。


そんな反応をどぎつい言葉の後にされるとは思ってもいなかったから、唖然としてしまった。

体感からして1分か30秒後くらいにやっと我に返った時には、6限目の授業が終わるチャイムが鳴っていた。

何か言葉を返そうとしたが、彼女はすぐにお仲間内に囲まれてしまって僕は話せなくなってしまう。


「ネイルちょーかわい~」

「授業中にしたの? スゲー!」


すごいな。女子にも男子にも人気だな。



―本当にごめん。

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