ザルツァ再訪! 緊張高まる第二の会談
ケインのカウンター情報戦略が始まりました!
ハキムから再び連絡が入った。
次なる秘密会合の日時と場所が告げられたのだ。場所は、前回と同じく中立都市ザルツァ。
しかし、今回ハキムが連れてくるのは、彼が信頼を置く、サルメディアの未来を真剣に考える若手の貴族や、改革派の知識人たちだという。保守派による情報戦の妨害が続く中、この会合を成功させられるかどうかが、サルメディアの未来を左右する、極めて重要な分岐点となるだろう。
ケインは、エリアナから提供された参加者たちの詳細なプロファイル(性格、経歴、関心事、弱点など)を読み込み、スキルを駆使して、あらゆる状況を想定した「交渉シミュレーション」を繰り返した。
レナード卿とも綿密な打ち合わせを行い、チーム一丸となって、この決戦とも言える交渉に臨む準備を整えた。彼の持つ「見える化」能力とマーケティング戦略が、今、国家の未来を賭けた舞台で、真価を発揮しようとしていた。
再び訪れた中立都市ザルツァ。
ケインとレナード卿は、前回にも増して厳重な警備と隠密行動の中、クレスメント商会の秘密商館へと足を踏み入れた。外は自由都市の喧騒が嘘のように、室内には息詰まるような緊張感が満ちていた。
ケインは出発前、リサとの魔法通信で
「これから大事な話し合いがある。数日は連絡できないかもしれないが、必ず無事に帰る」
とだけ伝えた。受話器の向こうのリサの声は、不安を隠しきれないながらも
「信じて待っています」
と震えていた。その声が、今のケインの最大の支えだった。
約束の時間、重厚な扉が開き、大商人ハキムと共に、数名の人間が入室してきた。
ケインの予想通り、彼らは若かった。三十代前半と思われる、貴族特有の洗練された物腰の中に、鋭い知性と隠しきれない熱意を漂わせる青年が二人。そして、禁欲的な学者のような雰囲気を纏い、射るような鋭い眼光を持つ壮年の男性が一人。
彼らが、ハキムが「信頼できる者たち」として選んだ、サルメディアの未来を憂う改革派のキーパーソンなのだろう。彼らは、挨拶もそこそこに席に着くと、値踏みするように、そしてわずかな疑念を滲ませながら、ケインとレナード卿を見つめた。
「ようこそお越しいただいた、レナード卿、そしてケイン殿」
ハキムが口火を切ったが、その声にも緊張の色が滲んでいる。
「ここにいるのは、私の腹心であり、サルメディアの行く末を真剣に考えている者たちだ。貴殿らの提案について、私から概要は伝えてある。今日は、彼らの疑問に、率直に答えていただきたい」
レナード卿が、グランセリオ側の基本的な立場と、対話への真摯な意思を改めて述べた後、ケインが前に進み出た。彼は、この日のために準備した資料――奴隷制度の経済的非効率性を示すグラフ、代替産業の可能性を示唆する図解、段階的な改革ロードマップなどを壁に投影し(これもエリアナが用意した最新の魔法装置だ)、プレゼンテーションを開始した。
ケインの渾身のプレゼンと交渉開始。
明日も19時に更新します。
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