口コミで広がる逆転の一手
ポジティブなメッセージによる
情報の塗り替え戦略スタート!
ケインは、エリアナの協力と資金援助を得て、カウンター情報戦略を開始した。
まず、彼が作成したレポートの中から、
「奴隷制度に頼らない新たな産業がいかにサルメディア国民全体の利益となるか」
「グランセリオが望むのは、搾取ではなく、対等なパートナーシップによる共存共栄である」
という点を強調した、簡潔で分かりやすいメッセージを作成。
そして、そのメッセージを、サルメディア国内の穏健派商人たちが購読している (とされる)信頼性の高い商業情報誌や、知識人層が読む学術的な論文 (もちろん、体裁を整えた偽装だが)の中に、広告や寄稿記事のような形で、巧妙に紛れ込ませたのだ。
さらに、エリアナの商会のルートを通じて、そうした情報が「信頼できる筋からの話」として、口コミで広まるよう仕向けた。
ケインはスキルで、これらのカウンターメッセージの「浸透度」や「共感度」、そしてネガティブ情報の「影響力減衰率」をリアルタイムで測定し、最も効果的な表現やタイミングを見極めながら、情報戦を有利に進めていった。
外交という、神経をすり減らすような仕事に没頭する日々の中でも、ケインにとって唯一の心の安らぎは、リサとの魔法通信での短い会話だった。交渉の具体的な内容は話せない。それでも、
「少しずつだけど、前に進んでいるよ」
「大変だけど、やりがいのある仕事だ」
と伝えるケインの声に、リサは
「すごいですね……!でも、絶対に無理はしないでくださいね。ちゃんと食べて、ちゃんと寝てますか?」
と、彼の身を案じる言葉を返す。
そして、
「灯火亭は、みんなでしっかり守っていますから。いつでも、あなたの帰りを待っています」
という言葉が、ケインにどれほどの勇気を与えてくれたことか。この繋がりがあるからこそ、彼は困難な任務に立ち向かえるのだと、改めて実感していた。
そんなケインの活動の傍らで、彼の心の中には、もう一つの重要なテーマが育ちつつあった。
情報操作や偏見が、いかに人の可能性を奪い、社会を歪めるか。サルメディアでの経験は、グランセリオの「ハズレスキル」問題への彼の視点を、より深く、より具体的なものへと変えていた。
(不当なレッテルによって、本来持っている価値を発揮できない人々がいる。それは、奴隷も、ハズレスキルを持つ者も同じだ。彼らが持つ『真の価値』を社会に伝え、彼らが輝ける場所を作る。それこそが、俺がこの世界で本当にやるべきことなのかもしれない)
ケインは、外交任務の合間を縫って、グランセリオ国内の様々な「ハズレスキル」と呼ばれる能力について、その特性や、活かせる可能性のある分野についての調査と分析を、個人的に始めていた。それは、未来への、静かで、しかし確かな布石だった。
ハズレスキルは本当に「外れ」なのか?
がんばれ、ケイン!!
明日も19時に
どうぞよろしくお願いいたします!




