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広がり始める密談の輪と情報戦の幕開け

密談の果てに・・・


中立都市ザルツァでの大商人ハキムとの最初の接触から数週間。


ケインとレナード卿率いる交渉チームは、固唾を飲んでハキムからの次のアクションを待っていた。その間も、ケインは自身の「見える化」スキルを駆使し、サルメディア国内の情勢を注意深くモニターし続けていた。


スキルが示すデータは、ハキムがケインたちの提案について真剣に悩み、腹心の部下や、ごく少数の信頼できる人物と内密に相談を重ねている様子を映し出していた。同時に、保守派貴族や奴隷商人ギルドが、ハキムの周辺に探りを入れている兆候も感知された。


(ハキムは、リスクとリターンの間で揺れているな。彼を動かすには、もう一押し、あるいは彼が動きやすい環境を整える必要があるか……)


ケインは、分析結果を基に、次なる一手についてシミュレーションを繰り返していた。



そんなある日、待ちわびた連絡が、エリアナを経由して極秘裏にもたらされた。ハキムからのメッセージだった。


「貴殿らの提案について、内密に検討を重ねた。非常に野心的だが、無視できない魅力があることも事実だ。ついては、私の信頼する他の数名――国の将来を憂う、志を同じくする者たちにも、直接貴殿らの話を聞かせてみたい。ただし、これは極めて危険な賭けとなる。場所と方法は、こちらで慎重に選定させてもらう。準備が整い次第、再度連絡する」


それは、交渉が次の、より重要な段階へと進むことを示す、大きな前進だった。レナード卿をはじめとする交渉チームの間に、安堵と新たな緊張感が走った。



しかし、事態が好転し始めると、必ずそれを妨害しようとする力が働くのが世の常だ。ほぼ時を同じくして、ケインのスキルは、サルメディア国内で新たな、そしてより厄介な動きを捉えていた。


【情報汚染アラート:サルメディア国内・特定コミュニティ(保守派商人ギルド、一部神殿)にて、グランセリオ及びケインに対するネガティブ情報拡散を確認】

【拡散内容:「グランセリオは経済搾取目的」「ケインは危険思想を持つ扇動者」】

【情報浸透度(ターゲット層):15%(上昇傾向)】

【影響予測:改革派への圧力増大、交渉環境の悪化】


(やはり来たか……ヴァルガス残党か、あるいは保守派本体の仕業か。今度はより巧妙に、特定の層にターゲットを絞って情報を流しているな……)


ケインは舌打ちした。このまま放置すれば、ハキムたちが動きにくくなるだけでなく、せっかく開いた対話の扉が再び閉ざされかねない。


「レナード卿、エリアナさん。敵も動き出したようです。我々もカウンターを仕掛ける必要があります」


ケインはすぐに関係者に連絡を取り、対策を協議した。直接的な反論は、かえって相手の思う壺になる可能性がある。そこでケインが提案したのは、ポジティブなメッセージによる「情報の塗り替え」戦略だった。


「ヴァルガスのような連中の嘘に対抗するには、私たちが『真実』と『希望』を発信し続けるしかありません。それも、相手が信頼するであろうルートを使って、さりげなく、しかし確実に届けるんです」


ネガティブキャンペーン発生中!

がんばれ、ケイン!


明日も19時に。

どうぞよろしくお願いいたします。

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