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灯火亭、再生への第一歩

マーケティング無双がはじまりますよ〜

試食イベントの興奮が冷めやらぬ翌朝。


リサはいつもより少し早く店に来て、念入りに掃除をしていた。昨日、ケインがホワイトボード(これもケインがギルドで購入し、壁に設置したものだ)に書き出した「開店前チェックリスト」を確認しながら、一つ一つ丁寧に準備を進めていく。その表情には、以前のような疲れや諦めの色はない。代わりに、緊張と、そして確かな希望が浮かんでいた。


「よし、開店!」


深呼吸をして、リサは店の扉に掛けられた「準備中」の札を「営業中」に裏返した。果たして、昨日の効果は今日に繋がっているだろうか?


すると、開店して間もなくだ。


「すみませーん、昨日スープもらった者だけど、開いてる?」


ひょっこりと顔を出したのは、昨日試食をして「美味しかった!」と笑顔を見せていた中年の男性客だった。


「は、はい! いらっしゃいませ! どうぞ!」


リサの声がわずかに上ずる。昨日ケインと打ち合わせた通り、明るい笑顔で客を迎える。


「いやー、昨日のスープ、本当に美味かったからさ。今日は昼飯、ここで食おうと思ってな。おすすめは何だい?」


「ありがとうございます! それでしたら、日替わりのA定食がおすすめです! 今日のお肉料理も自信作なんですよ」


「ほう、じゃあそれを頼むよ」


男性客が席に着くと、間もなくして別の客が入ってきた。昨日試食に来ていた若い夫婦だ。


「こんにちはー! 昨日、限定定食があるって聞いたんですけど……」


「はい! いらっしゃいませ! ご用意しております!」


立て続けに来店する客に、リサは嬉しい悲鳴を上げそうになりながらも、懸命に調理と接客をこなしていく。厨房とホールを行き来する彼女の動きは、どこか軽やかだ。昼時が過ぎる頃には、店のテーブルはほとんど埋まり、昨日までの閑散とした光景が嘘のようだった。



閉店後、売上を集計したリサは、その額を見て再び目を丸くした。昨日のイベント当日ほどではないにしろ、以前の平均的な一日の売上の5倍近い数字を叩き出していたのだ。


「ケインさん……すごい、すごいです! 今日も、たくさんお客さんが来てくれて……!」


後片付けを手伝いに来ていたケインに、リサは興奮気味に報告した。


「それは良かった! 試食の効果がしっかり今日に繋がった証拠ですね。でも、大切なのはここからです。この流れを一過性のものにせず、安定した集客に繋げていく必要があります」


ケインはホワイトボードの前に立ち、マーカーを手に取った。


「試食はあくまで『きっかけ作り』です。次は、もっと広範囲に『灯火亭』の存在と魅力を知ってもらい、そして一度来てくれたお客さんに『また来たい』と思ってもらうための施策を打ちましょう」


ケインはボードにいくつかのキーワードを書き出した。


「チラシ」

「掲示板」

「口コミ」

「リピーター施策」


まずは、チラシと掲示板からだな。


次回、具体的な施策を進めますよ〜


明日19時更新します!

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