マーケティング的思考による未来を描く渾身のレポート
国家コンサルタント、ケイン始動!
数週間後、ケインはついにレポートを完成させた。
タイトルは『サルメディアの持続可能な未来への提言 ~奴隷制度からの脱却と新たな繁栄への道筋~』
全数十ページに及ぶその報告書は、ケインの持つ知識とスキル、そして問題解決への強い意志が凝縮された、渾身の作だった。
内容は、単に奴隷制度の非人道性を糾弾するものではない。
まず、奴隷労働がいかに短期的には利益を生むように見えても、長期的には技術革新を阻害し、人材育成の機会を奪い、社会不安を増大させることで、サルメディア自身の経済発展の足枷となっているかを、具体的なデータ (ケインがスキルで推定・算出したもの)を用いて「見える化」し、その経済的デメリットを明確に示した。
その上で、奴隷労働に代わる具体的な代替案を提示した。グランセリオが得意とする農業技術や、魔法技術を応用した新たな産業 (例えば、砂漠に適した資源開発や、独自の文化を活かした観光産業など)の育成、そして何よりも、解放された奴隷を含む全ての人々への基礎教育の機会提供による人材開発の重要性を説いた。
さらに、既得権益層 (奴隷商人や保守派貴族)からの抵抗を最小限に抑えるため、彼らに対する一方的な断罪ではなく、段階的な制度改革の中で、新たなビジネスへの転業支援や、一定の経済的補償を行うといった、現実的な配慮も盛り込まれていた。
それは、理想論だけではない、実行可能性を追求した、まさに「マーケティング的思考」に基づいた国家レベルの改革案だった。
ケインは完成したレポートを、外交顧問のレナード卿に提出した。報告書に目を通したレナード卿は、その内容の緻密さ、分析の鋭さ、そして提案の斬新さと現実味に、深い感嘆の声を漏らした。
「……素晴らしい! ケイン殿、これは……まさに我々が求めていたものかもしれん! これほどのものを作り上げるとは!」
レナード卿は興奮気味に語り、速やかにレポートを国王陛下とセリーヌ王女の元へと届けた。
国家レベルの改革だーーー
がんばれ、ケイン!
明日も19時に更新します。
どうぞよろしくお願いいたします。




