奪われた自由を取り戻せ! 希望をかけた戦いの始まり
異国の味で心を掴みました!
数日後、ケインは国王陛下とセリーヌ王女から、内密に王宮へと呼び出された。そこで彼が受けたのは、予想もしなかった、しかし彼の心を強く揺さぶる依頼だった。
「ケイン殿」
国王は重々しく口を開いた。
「そなたの持つ、我々にはない広い知識、公平な視点、そして物事の本質を見抜く力を、我が国の外交のために役立ててはくれまいか」
セリーヌ王女が言葉を継ぐ。
「特に、長年、我が国との間に問題を抱えている、隣国サルメディアとの関係についてです。かの国の『奴隷制度』は、人道的に看過できない問題であると同時に、両国間の交易や安定を阻害する大きな要因ともなっています。ケイン殿、貴方ならば、あの国で見たこと、感じたことを踏まえ、何か……何か、この困難な問題を解決する糸口を見つけるための、手助けをしていただけないでしょうか?」
それは、単なる料理やビジネスのコンサルティングを超えた、国家間の外交、そして人権という、極めて重く、デリケートな問題への関与を求めるものだった。ケインは、サルメディアで目の当たりにした、あの非人道的な光景を思い出し、身震いした。しかし同時に、あの時感じた強い憤りと無力感、そして「何とかしたい」という想いが、再び込み上げてくるのを感じた。
(俺に、そんなことができるのか? だが、もし可能性があるのなら……)
ケインは、隣に立つ(であろう未来の)リサの顔を思い浮かべた。そして、静かに、しかし決意を込めて答えた。
「……微力ながら、私にできることがあるのなら、喜んでお受けいたします」
この瞬間、ケインの異世界での役割は、新たな、そしてより大きな次元へと引き上げられた。そして彼は、この経験を通じて、いずれはグランセリオ国内にいる、かつての自分やシエルのように「ハズレスキル」と呼ばれ、不当な扱いを受けている人々が、その個性的なスキルを活かし、社会に貢献できるような道を作る手助けもしていきたい、という強い想いを、胸の奥に抱くようになっていた。
ケイン・モリヴァンの物語は、外交、人権、そして社会変革という、壮大なテーマへと、その舵を切ろうとしていた。彼の「マーケティング」スキルは、この異世界で、どこまで価値を創造し、未来を変えていくことができるのだろうか。
国王陛下とセリーヌ王女から託された密命――サルメディアの奴隷制度問題解決への協力要請。それは、ケインがこれまでに経験したどんな依頼とも比較にならないほど、重く、複雑で、そして危険を伴うものだった。
王宮を後にしたケインの足取りは、興奮よりもむしろ、これから対峙するであろう問題の巨大さに対する畏敬の念と、自身に何ができるのかという問いかけで、少しばかり重くなっていた。
奴隷制度との対決がはじまりますよ〜
明日も19時に。
どうぞよろしくお願いいたします!




