二人だけの秘密 〜仲間に告げるべき時を待ちながら〜
受け入れ合った先の光景は、とても美しい。
そんな穏やかな日々が数日続いたある夜。閉店後の片付けを終え、二人きりになった店内で、ケインはリサに静かに問いかけた。
「リサさん、僕のこと、アンナさんやレオンくん、ガロンさん……信頼できる仲間たちに、話すべきだと思いますか?」
それは、ケインがずっと考えていたことだった。リサに受け入れてもらえたとはいえ、他の仲間たちがどう反応するかは分からない。秘密を共有することで、彼らを危険に晒してしまう可能性だってある。
リサは、ケインの問いかけに、少しの間、真剣な表情で考え込んでいた。そして、ゆっくりと口を開いた。
「それは、ケインさん自身が決めることだと思います。無理に話す必要はないかもしれません。でも……」
彼女は、ケインの目を優しく見つめ返した。
「でも、私は、あの人たちなら……アンナも、レオンも、ガロンさんも、きっと、驚きはするでしょうけど、最後にはケインさんのことを受け入れてくれると信じています。だって、私たちはもう、ただの仕事仲間じゃなくて、家族のようなものですから」
その言葉には、仲間たちへの深い信頼がこもっていた。しかし、リサは少し照れたように付け加えた。
「……ただ、個人的には、もう少しだけ、このことは、私たち二人だけの秘密にしておきたい、かな……なんて」
その言葉に、ケインも思わず笑みがこぼれた。
「そうですね。もう少しだけ、僕たちの秘密にしておきましょうか」
二人は、仲間たちへの告白は、焦らず、適切なタイミングを見計らうことにした。
ただし、一人だけ、近いうちに話すべき相手がいると考えていた。それは、エリアナ・クレスメントだ。彼女は重要なビジネスパートナーであるだけでなく、ケインの特異な能力や知識に、おそらく薄々気づいている節がある。誠実な関係を続けるためにも、いずれは打ち明けるべきだろう、と二人は考えた。
最大の秘密を共有し、互いへの理解と信頼を、かつてないほど深めたケインとリサ。二人は、改めて互いの手を取り合った。目の前には、灯火亭の更なる発展、ケインが関わり続けるラゼルシアの教育問題、そして、まだ見ぬ未来への挑戦が広がっている。しかし、今の二人には、どんな困難も共に乗り越えていけるという確信があった。
「さあ、明日は何をしましょうか?」
「まずは、最高の朝食を一緒に食べるところから、ですね」
二人は微笑み合い、店の灯りを消した。闇の中に、二つの影が寄り添い、温かい光を放っているように見えた。ケインとリサの物語は、真実の愛と信頼という、何よりも強い光を得て、新たな章へと、確かな一歩を踏み出したのだった。
闇の中は、ご想像にお任せいたします。
明日も19時に公開しますので、
どうぞよろしくお願いいたします。




