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起死回生? 試食イベント大作戦

一番手っ取り早く効果が期待できる

『試食』を提案したケインでしたが・・・



リサは戸惑った表情を見せた。


「はい、無料で“試食サイズ”のものを配ります。もちろんコストはかかりますが、それ以上に、まずリサさんの料理の美味しさを体験してもらうことで、“お店に行ってみたい”と思わせる確率……つまり“来店率”を飛躍的に高めることができるんです。そして試食を渡す際には、一言だけこう言ってください──」


俺はリサに、効果的な声かけの言葉を伝えた。


「『お店はすぐ近くの、この路地を入ったところにある“灯火亭”です。今だけお得な限定定食もありますので、ぜひお立ち寄りください!』ってね」



翌日、俺たちは早速、商人ギルドに一時的な営業許可をもらい、再開発エリアの中でも特に人通りの多い広場の一角で、小さな屋台を出した。屋台には、俺がデザインし、リサが清書してくれた手描きの看板を掲げる。


「【衝撃】本当に美味しいのに誰も知らない!? 隠れすぎた名店『灯火亭』の絶品スープ、今だけ無料で試食できます!」


少し煽り気味だが、インパクト重視だ。


リサが、昨日仕込んでくれた自慢の野菜スープを小さな紙コップに注ぎながら、少し緊張した面持ちで道行く人々に声をかける。


「い、いかがですか~? 体が温まる美味しいスープの試食です~!」


最初は恥ずかしがっていたリサだが、俺が手本を見せたり、励ましたりするうちに、だんだんと声も大きくなってきた。俺は横で、マーケティングスキルのステータス表示に意識を集中させる。


【通行人の看板への注目度:+45%(さらに上昇中!)】

【スープの香りによる興味度:+30%】

【試食体験→来店意欲への転換率:+60%(リサさんの笑顔で+5%、限定定食の案内で+15%=最大80%!)】


「よし、これはいけるぞ!」


思わずガッツポーズが出た。数値は正直だ。



その日の午後だけで、実に50人以上の人々が試食に立ち寄ってくれた。そして、そのうち15人もの人々が、その日のうちに実際に「灯火亭」を訪れてくれたのだ。


中には、

「こんなに美味しい店があったなんて知らなかった!」

「明日も絶対来るよ!」

と興奮気味に言ってくれる、未来の常連候補も現れた。



その夜、閉店後の「灯火亭」で、リサは目を潤ませながら俺に言った。


「ケインさん、本当に、本当にありがとう。今日一日だけで、いつもの10倍以上の売上があったのよ! それに、お客さんに『美味しい』って直接言ってもらえるたびに、嬉しくてなんだか泣きそうだった……」


「それは本当に良かったです、リサさん。でも、これはまだ始まりに過ぎません。“入り口”を作っただけですから。これからもっと多くのお客さんに来てもらって、リピーターになってもらって、そして最終的にはお店の“ファン”になってもらうことを目指しましょう」


「“ファン”? それって、どういう意味?」


「えーとですね……単に何度も来てくれる常連さんというだけでなく、このお店のことが大好きで、自ら他の人に『あのお店、すごく良いよ!』って勧めてくれるような、熱心な支持者のことです」


「へぇ! ファン!……なんだか、すごくワクワクしてきた!」


リサの目に、諦めではない、希望の光が力強く灯ったのを俺は見た。


俺の「ハズレスキル」と呼ばれたマーケティングが、この異世界で確実に価値を生み出し始めている。その手応えに、俺自身の心も高揚していた。


さて、次はどうするか──。


試食で瞬間的な集客はできたが、これを継続的なものにしなければ意味がない。日本ならSNSでの拡散やウェブ広告、インフルエンサー活用など、様々な手段があるが、この世界にはもちろんそんなものはない。だが、代わりになる手段は必ずあるはずだ。


「チラシ、街の掲示板、口コミの誘発、そして何か……イベントか? よし、やるぞ!」


異世界で、俺のマーケティング無双が、今、まさに始まろうとしていた。


はい、マーケティング無双って言いたいだけです(笑)


明日も19時に投稿します!

どうぞよろしくお願いいたします!

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