初めてのデート、見晴らしの丘
祝福とからかいに包まれて。
ケインとリサが恋人同士になってから、灯火亭の空気は以前にも増して温かく、そしてどこか甘酸っぱいものに満ちていた。
仕事中は互いにプロとして振る舞おうとするものの、ふとした瞬間に交わされる視線や、無意識の気遣いに、二人の新しい関係が滲み出てしまう。
その度に、アンナが「店長、またケインさんと見つめ合ってましたよー!」と茶化し、レオンが(厨房から)そっと見守るように口元を緩ませ、他のスタッフたちも微笑ましいものを見るような温かい視線を送っていた。
ガロンも時折顔を出しては、「おいケイン、リサに変な虫がつかねえように、しっかり見張ってろよ!」などと、彼なりのエールを送っていく。
そんな周囲の温かい祝福の中で、二人は初めての「デート」の計画を立てた。次の定休日に、街の外れにある「見晴らしの丘」へピクニックに行くことにしたのだ。
当日の朝、リサはいつもより早く起きて、ケインの好物を詰め込んだ特製のお弁当作りに精を出していた。
一方のケインも、普段は機能性重視の服装が多いが、その日は少しだけお洒落なシャツを選び、髪を入念に整えたりして、落ち着かない様子だった。
約束の時間、店の前で待ち合わせた二人は、互いのいつもと少し違う雰囲気に、思わず照れて視線を逸らした。
「リ、リサさん、その服、すごく似合ってますね」
「ケ、ケインさんこそ、なんだか、いつもより格好いい……です」
ぎこちない会話を交わしながら、二人は並んで丘への道を歩き始めた。
最初は少し緊張していた二人だが、爽やかな風、鳥のさえずり、道端に咲く可憐な花々が、自然と心を和ませてくれた。
「わあ、見てください、ケインさん! 珍しい蝶々!」
「本当ですね。僕の故郷にはいない種類だな」
「ケインさんの故郷って、どんなところなんですか?」
「ええと……海が近くて、とても賑やかな街でしたよ。美味しいものがたくさんあって」
ケインは、当たり障りのない範囲で故郷(前世の日本)の話をした。
リサも、子供の頃にこの丘で秘密基地を作って遊んだ話や、おてんばすぎて男の子たちと喧嘩ばかりしていた話など、普段は聞けないような一面を、楽しそうに語ってくれた。
他愛ない会話を重ねるうちに、二人の間の距離は自然と縮まっていった。
あまずっぺ〜
なぜか、こっちが照れる(汗)
明日も19時に更新します!




