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スキル「見える化」の力

市場調査をしたケイン。


ニーズや動向を探ってみたら・・・

再開発エリアは、リサの店がある古びた路地裏とはまるで別世界だった。道幅は広く、明るい色の石畳が敷き詰められ、新しくて洒落たデザインの建物が整然と立ち並んでいる。人の流れは途切れることなく、活気のある声や様々な匂いが満ち溢れていた。露店や屋台も数多く出店しており、香ばしい食べ物の匂いや、陽気な売り子の掛け声が飛び交っている。


「なるほどな。人が集まる“場所”が持つ力、というのは、どの世界でも変わらないということか」


俺は歩きながら、繁盛している店、行列ができている店、逆に閑散としている店などを注意深く観察し、気づいたことを手元のメモ帳(ギルド登録時にもらったものだ)に書き留めていった。人気の店には、いくつかの共通点が見られた。


・店構えが華やかで、遠くからでも目を引く大きな看板や装飾がある。

・店員(呼び込み)の声が明るく、親しみやすい雰囲気がある。

・人通りの多い、いわゆる“一等地”や“交差点”に位置している。

・看板メニューや、お得なセットメニューなどが分かりやすく提示されている。


まあ、考えてみれば当たり前のことばかりだ。これは日本でのマーケティングの基本と何ら変わりはない。


店に戻る途中、通りすがりの人々に何人か声をかけ、簡単なアンケートを取ってみた。


「すみません、ちょっとお尋ねします。この街で一番美味しいご飯屋さんって、どこだと思いますか?」


ほとんどの人は、

「うーん、やっぱり中央通りにある『ミートパレス』かな」

「あとは港近くの『グリル・バルド』も有名だね」

といった、再開発エリアや大通りにある有名店の名前を挙げた。


リサの「灯火亭」の名前を挙げる人は、もちろん誰一人としていなかった。


試しに、一番名前が挙がった「ミートパレス」に入ってみる。店内は広く、多くの客で賑わい、店員の数も多い。看板メニューらしきものを注文して味を確かめてみる。


うん……まあ、普通に美味しい。だが、行列ができるほどかと言われると疑問符が付く。正直、これで比較するなら、リサのお店の料理の方が何倍もレベルが高い。


「やはり、最大の問題は“圧倒的に知られていない”ということか」



俺は確信を持って店に戻り、リサに調査結果を詳細に報告した。


「……というわけで、リサさん。調査の結果、はっきりしたことがあります。それは、この『灯火亭』は、“味では街のどの人気店にも負けていない”、いや、むしろ“勝っている”ということです。それなのに客足が遠のいているのは、ただ一つ、“お店の存在がほとんど誰にも知られていない”からなんです。それが全ての原因です」


俺の言葉に、リサは静かに頷いた。


「そう……だよね。頭ではわかっていたつもりだったけど、こうしてはっきり言われると……やっぱり悔しいなぁ……」


彼女は唇を噛みしめた。


「だからこそ、打つ手はあるんです! まずは何よりも“知ってもらうこと”を最優先にしましょう。幸いなことに、僕には『マーケティング』のスキルがあります。実はこのスキル、ちょっと特殊でして……例えば、人の心の動きや、広告などに対する反応を、具体的な“数値”として見える化できるんです」


「えっ!? 数値で見える? そんな魔法みたいなことができるの?」


リサは目を丸くして驚いた。


「はい。僕のスキルを使えば、例えば、どんな宣伝文句が人の興味を引くか、とか、試食をした人がどれくらいお店に来たいと思ってくれたか、といったことが、具体的なパーセンテージでわかるんです」


※実際、転生によって俺の「マーケティング」スキルは異世界仕様に強化されていた。脳内で特定の行動や施策をイメージすると、

【看板の文言変更:通行人の興味度+20%上昇】

【試食キャンペーン実施:試食者の来店確率+35%向上(条件付きで最大50%)】

といった形で、リアルタイムでその効果予測が数値として表示されるようになっていたのだ。これは使える!


「というわけで、まず第一弾として、一番手っ取り早く効果が期待できる『試食』をやってみましょう」


「試食? あの、無料で料理を配っちゃうってこと?」


脳内で効果予測が数値表示されるって最強かなって。


リサは、試食に対して戸惑ってるご様子。

どうなる!?


次回、明日19時アップします!

よろしくお願いしますm(_ _)m

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