オルダス公爵の失脚と「試験的基礎教育機関」認可へ
最後の切り札が間に合いました。
自身の独断専行と、過去の不正行為の数々が明るみに出たことで、オルダス公爵の権威は完全に失墜した。
激怒した国王は、即刻オルダス公爵を全ての役職から解任し、王都の一角にある屋敷での無期限の謹慎を命じた。
事実上の永久追放であり、政治的な死を意味した。保守派貴族たちは最大のリーダーを失い、その勢力は急速に萎縮していくこととなる。
この一連の騒動を経て、ラゼルシア王宮の空気は劇的に変化した。オルダス公爵という最大の抵抗勢力が排除されたことで、セリーヌ王女をはじめとする進歩派の声が通りやすくなったのだ。
「知識の普及は、国の安定と発展に不可欠である」という認識は、もはや疑うべくもない事実として受け止められ始めていた。
そして、国王はついに、歴史的な決断を下した。
ケインたちが秘密裏に運営していた「知識探求センター」を、王家が後援する「試験的基礎教育機関」として正式に認め、公的な活動を許可したのだ。場所も、地下の古い書庫ではなく、王都の一角にある、日当たりの良い公共施設が提供されることになった。
「本当に、ここまで来られるなんて……」
新しいセンターの看板(そこには控えめながら王家の紋章も記されていた)を見上げながら、ティナは涙を浮かべていた。隣には、ケイン、マティス老人、エリアーデ、そして希望に満ちた表情の生徒たちとその親たちがいた。
「ええ、これはゴールではありません。新たなスタートです」
ケインは微笑んだ。最大の危機を乗り越え、彼らはついに、ラゼルシアにおける教育の扉を、公に、そして力強くこじ開けたのだ。
しかし、ケインの視線は、すでにその先を見据えていた。
王家のお墨付きを得たとはいえ、国全体の識字率を1%から引き上げるという目標は、依然として途方もなく遠い。保守派貴族の残党からの妨害が完全になくなったわけでもない。そして何より、このラゼルシアでの活動が、グランセリオの、そして彼自身の未来にどのような影響を与えていくのか……。
ケインは、マーケティングスキルが、単なるビジネスの成功だけでなく、社会の変革にまで貢献できる強力なツールとなりうることを、このラゼルシアでの経験を通じて確信していた。彼の持つユニークな力と、かけがえのない仲間たちとの絆を武器に、ケインの挑戦は、国境を越え、新たな地平へと続いていく。
物語は、大きな達成感と共に、次なる展開への無限の可能性を感じさせながら、幕を閉じるのだった。(あるいは、新たな章の始まりを告げるのかもしれない)
ゴールではなく、スタート!
明日から、新章突入します。
19時更新予定です。
どうぞよろしくお願いいたします。




