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新拠点「知識探求センター」へ

魔法研究所のエリアーデさんが

素晴らしい提案をしてくれました。


新しい拠点は、地下にあるため窓もなく薄暗かったが、壁一面の書架には(今は空っぽだが)知の香りが漂い、隠れ家のような独特の雰囲気があった。


ケインたちは、この新しい場所を「ラゼルシア知識探求センター」と(内心で)名付け、気持ちを新たにした。


教える体制も強化された。マティス老人が正式な「主任指導員」となり、エリアーデも「特別研究員」として、より深く関わってくれることになった。


他にも、ケインたちの理念に共感した数名の協力者(文字の読める元商人や、手先の器用な職人など)が、「ボランティア研究員」として名を連ね、組織としての体裁が整いつつあった。


拠点の移転と並行して、ケインは貴族たちの圧力に対する本格的な反撃戦略に着手していた。それは、武力や直接的な対決ではなく、情報と世論、そして「事実」を武器とする、マーケティング的なアプローチだった。



対抗戦略①:世論への働きかけ


ケインは、エリアーデを通じて魔法研究所の進歩派グループや、ティナの繋がりを通じて知識の重要性を理解し始めている一部の商人たちに働きかけた。


「閉鎖的な知識の独占は、ラゼルシア全体の停滞を招く」「庶民の教育レベルの向上こそが、国力を高める鍵である」という論調を、それぞれのコミュニティ内で、徐々に広めてもらうよう依頼したのだ。すぐに大きな変化は起きなくとも、貴族社会の内部にも、変化を求める小さな声を確実に増やしていく狙いがあった。



対抗戦略②:教育成果の「見える化」とアピール


これが、ケインの戦略の核となる部分だった。彼は、ルーナ学舎で簡単な読み書きや計算を習得した「卒業生」たち(まだ数は少ないが)のその後を、協力者たちの助けを借りて追跡調査した。


そして、彼らが仕事や日々の生活で、学んだ知識をどのように役立て、どれだけの改善が見られたかを、具体的なエピソードと共に収集・分析した。


さらにケインは、スキルを最大限に活用し、それらの成果を客観的な「数値」へと変換していった。


【基礎識字能力獲得者の平均収入増加率:+8%(1年間)】

【計算能力向上による家計管理改善度(アンケート調査):+25%】

【簡単な実用書読解による作業効率向上率(職人・農民):+15%】

【地域コミュニティへの貢献度(手紙代筆、帳簿手伝いなど):明らかに向上】


これらのデータは、一つ一つは小さな変化かもしれないが、集積すれば無視できないインパクトを持っていた。



ケインは、これらのデータと、卒業生たちの感動的な成功事例(例:自分の店の看板を自分で書けるようになったパン屋の主人、薬草の本を読んで家族の病気を治す手助けができた娘など)を盛り込み、詳細かつ説得力のある「基礎知識教育の有用性に関する調査報告書~ラゼルシアの未来のために~」を作成した。


「これを、王宮に届けます」


ケインは完成した報告書を手に、ティナたちに言った。


「魔法研究所の所長の推薦状を添えて、正式なルートで提出します。これが、貴族たちの圧力を跳ね返すための、私たちの切り札です」


切り札、出たーーー!!


明日も19時に、よろしくお願いします!

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