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希望を捨てない人々

学ぶことは、悪いことではない。

決して、あきらめてはいけない。


「一ヶ月後までに出て行ってもらいたい」


ルーナ学舎の家主から告げられた言葉は、短く、そして非情な響きを持っていた。彼の苦渋に満ちた表情が、背後にあるであろう貴族からの強い圧力を物語っている。


ついに恐れていた事態が現実となったのだ。


学舎に集まっていた子どもたちや、夜間クラスの大人たちに動揺が走る。


「もうここには来られないの?」

「せっかく文字を覚えるのが楽しくなってきたのに……」


不安げな声が上がる。ティナも唇を噛みしめ、俯いていた。


しかし、その沈鬱な空気を破ったのは、他ならぬ生徒たち自身だった。


「大丈夫だよ! 僕たちの村の集会所、使えないか聞いてみる!」

「私の家は狭いけど、庭なら使えるかも!」

「先生、場所がなくなっても、教えてくれるよね?」


子どもたちや大人たちから、次々と前向きな声が上がったのだ。学びの喜びを知った彼らは、もはや一方的に与えられるだけの存在ではなかった。この場所を守りたい、学び続けたいという強い意志が、彼らの中に芽生えていた。


その姿に、ティナは顔を上げた。彼女の瞳には、もう迷いはなかった。


「ええ、もちろんです! 場所が変わっても、私たちは絶対に続けます。諦めません!」


力強く宣言するティナの姿は、もはやケインのサポートを待つだけの弱い店主ではなかった。ケインも、その隣で力強く頷いた。



とはいえ、安定した新しい場所を確保するのは容易ではない。ケインとティナが頭を悩ませていると、意外なところから救いの手が差し伸べられた。魔法研究所のエリアーデだ。


「ケインさん、ティナさん、お困りのようですね。実は、研究所の地下に、今はほとんど使われていない古い書庫があるのです。埃っぽくて狭いですが、あそこなら、おそらく貴族の方々の目も届きにくいかと」


彼女は声を潜め、提案してくれた。


「表向きは、私が管理する『古文書の整理及び、基礎知識体系化の研究プロジェクト』のための作業スペース、ということにして、所長の許可を取り付けます。所長も、貴族たちの横暴には眉をひそめていらっしゃいますから、きっと理解してくださるはずです」


それは、まさに僥倖だった。


ケインたちはエリアーデの申し出に深く感謝し、秘密裏にその古い書庫へと拠点を移す準備を始めた。


必ず道はある!!


明日も19時に公開します。

よろしくお願いいたします。

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