ヴァルガスの最終手段、経済テロ
最後の戦いに臨む決意を固めるケインでしたが・・・
ケインたちの反撃と包囲網によって、ゲオルグ・ヴァルガスは確実に追い詰められていた。彼の表情からはかつての余裕は完全に消え失せ、焦りと屈辱、そして抑えきれない憎悪が渦巻いていた。
もはや、小手先の妨害工作や悪評の流布では、あの忌々しいコンサルタントと、彼を取り巻く強固なネットワークを打ち破ることはできない。ならば――。
「……もはや、正攻法も裏工作も通用せぬか。ならば、全てを灰燼に帰してでも、奴らを、そして我々を貶めたこの街そのものを道連れにしてくれるわ!」
ゲオルグは、狂気を宿した目で、破滅的な最終計画の実行を決断した。
それは、王都全体の経済を根底から揺るがし、大混乱を引き起こすという、恐るべき経済テロリズムだった。
その兆候を最初に捉えたのは、やはりケインの「見える化」スキルだった。
彼は、ヴァルガス商会の動向を常に監視していたが、ある日、王都の主要な生活必需品、特に「小麦」の市場価格と在庫量のデータに、異常な変動パターンが現れていることに気づいたのだ。
(これは……尋常じゃない動きだ。特定の商会による、大規模な買い占めと、それに連動した売り浴びせ? まさか、ヴァルガスめ、市場そのものを破壊する気か!?)
ケインの背筋を悪寒が走った。これは単なる嫌がらせではない。市民生活の根幹を揺るがし、王都全体をパニックに陥れるための、計画的な攻撃だ。
ケインの予測通り、翌日から王都の市場は大混乱に陥った。
ヴァルガス商会は、その莫大な資金力を総動員し、市場に出回る小麦を片っ端から買い占め、価格を意図的につり上げたのだ。パンの価格は瞬く間に数倍に跳ね上がり、市民の間には不安と動揺が広がった。かと思えば、ヴァルガス商会は別の経路で大量の小麦を放出し、価格を暴落させる。
この乱高下は他の食料品にも波及し、市場機能は麻痺状態に陥り、弱い立場の中小の商店は次々と経営危機に瀕した。
街のあちこちで、食料を求める人々の小さな衝突や、政府への不満の声が上がり始めていた。
「ゲオルグ……! ついに狂ったか!」
エリアナは、クレスメント商会の総力を挙げて市場の安定化に奔走した。備蓄していた小麦を放出し、他の健全な商人ギルドと連携してヴァルガス商会に対抗買いを仕掛けた。
しかし、ヴァルガス商会は、もはや利益度外視、なりふり構わぬ捨て身の攻撃を仕掛けてきており、クレスメント商会の力だけでは、この狂気の市場操作を完全に抑え込むのは困難だった。
ゲオルグの思考回路がやばいですね・・・
この混乱、どうなる?
どうする、ケイン!?
明日19時に更新します。
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