エリアナとの連携強化と卑劣な妨害工作
ヘッドハントは悪くない・・・
悪くないんだけど・・・
ケインとリサは、すぐにエリアナに連絡を取り、状況を報告した。
「やはりヴァルガスが……あの男ならやりかねませんわ」
エリアナは忌々しげに呟いた。
「ですが、ご心配なく。こうなることも想定の範囲内です。ヴァルガス商会の動きは、我がクレスメント商会の情報網でも監視を強化しましょう。灯火亭は、我が商会にとっても重要なパートナー。全力でお守りしますわ」
敵対商会の出現は、皮肉にも灯火亭とクレスメント商会の連携を、より強固なものにした。
エリアナの協力も得て、ケインたちはヴァルガス商会の妨害工作への対策を練り始めた。
まず、スタッフへの引き抜き工作に対しては、改めてチームの結束を確認し、待遇面でも不満が出ないよう、店の利益を適切に還元する仕組みを整えた。 そして、ケインが予測した次なる手、「類似品販売」や「原材料供給妨害」、「悪評流布」への備えも進めた。
「類似品が出回る可能性に備えて、『灯火亭』ブランドの品質保証と、本物の証となるような認証マークを導入しましょう」
「仕入れルートを複数確保し、特定の業者に依存しない体制を急いで構築します」
「悪評に対しては無視するのが基本ですが、あまりに悪質な場合は、ギルドや、場合によっては衛兵にも相談できるよう、証拠を集めておく必要があります」
ケインは次々と具体的な対策を指示していく。
そんな矢先、ヴァルガス商会の本格的な妨害が始まった。
まず、灯火亭がメインで使っている特定の野菜や香辛料が、市場で品薄になり始めたのだ。ヴァルガス商会が、裏で買い占めを行っているのは明らかだった。さらに、「灯火亭の料理を食べたら食中毒になった」「衛生管理がずさんだ」といった、根も葉もない悪質な噂が、街の一部で囁かれ始めた。
(予測通り……だが、思ったより手が早いな!)
ケインはスキルで情報の拡散状況と影響度をチェックしながら、対策を急いだ。幸い、仕入れルートの多様化は進めていたため、多少コストは上がったものの、食材の供給が完全に止まる事態は避けられた。悪評に対しては、エリアナ商会の協力を得て、「灯火亭は衛生管理を徹底しており、食中毒の報告は一切ない」という公式声明をギルドの掲示板などに掲載し、火消しを図った。
外部からの卑劣な攻撃は、チーム灯火亭のメンバーたちに不安と憤りをもたらしたが、同時に彼らの結束をより強くした。
「絶対に負けません!」
「リサさんの料理と、この店を守ります!」
スタッフたちは、リサとケインのもとで、一丸となって困難に立ち向かう決意を固めていた。
「ヴァルガス商会は、力でねじ伏せようとしてくる。だが、我々の武器は力じゃない」
ケインはチームに語りかけた。
「私たちの武器は、リサさんの作る最高の料理、心を込めたおもてなし、そして、この店を愛してくれるお客さんたちとの絆です。そして……僕のスキルもね」
ケインは不敵な笑みを浮かべた。
彼は、ただ守るだけでは終わらない。反撃の狼煙を上げる時が来たのだ。彼は、ヴァルガス商会の土俵で戦うのではなく、マーケティングの力で、「本物」の価値を世に問い、ヴァルガス商会の卑劣なやり方を白日の下に晒すための、次なる戦略を練り始めていた。
ケインの戦い方は・・・
そう、マーケティングだ!!
がんばれ、ケイン!
明日、19時に更新します。
どうぞよろしくお願いいたします。




