チームの絆、再び
具体的な改善策は、吉と出るか凶と出るか!?
ケインの提案は、すべて「見える化」されたデータに基づいていたため、説得力があった。チームで話し合い、いくつかの微調整を加えた上で、翌日から早速、改善策を実行に移すことになった。
特に疲労が溜まっている様子だったアンナには、ケインとリサが個別に声をかけた。
「アンナさん、いつもホール全体を見てくれてありがとう。でも、一人で抱え込まないでくださいね。データでも、アンナさんの頑張りすぎが明らかでした。これからはもっと周りを頼って、自分の休憩もしっかり取ってください」
リサが優しく声をかけると、アンナは張り詰めていたものが切れたように、ポロリと涙をこぼした。
「すみません……私、もっと頑張らなきゃって……でも、体が……」
「無理しないでいいんです。アンナさんは、灯火亭にとって大切な仲間なんですから」
ケインも頷いた。データによる客観的な分析と、こうした温かい心のケア。その両輪があってこそ、チームは健全に機能する。
改善策を実行し始めて数日後。
ケインは再びスキルを使い、効果測定を行った。
(よし……厨房内の動線の滞留が大幅に減っている。調理時間の平均が8%短縮)
(ホールスタッフの動きもスムーズになった。ピーク時の待ち時間が平均で12%削減)
【アンナ:疲労度55%(改善)/ストレスレベル40%(安定)/モチベーション70% (回復)】
【新人A:ストレスレベル55%(改善)/モチベーション60%(上昇)】
(客席の雰囲気も……うん、「満足度」を示すポジティブなオーラが以前より明らかに増している)
目に見える改善効果に、チームの雰囲気は一気に明るくなった。
スタッフたちは、自分たちの仕事が楽になっただけでなく、店のサービスが向上し、客の満足度が上がっていることを実感し、再び自信と活力を取り戻した。
そして、彼らはケインの持つ不思議な力――「見える化」能力が、いかに強力で、頼りになるものかを改めて認識した。それは魔法のような力でありながら、決して曖昧なものではなく、具体的な問題解決に直結する実践的なツールなのだと。
「ケインさんって、本当にすごいんですね!」
アンナが尊敬の眼差しでケインを見る。レオンや他のスタッフたちも、深く頷いていた。リサもまた、隣に立つケインの存在の大きさを、改めて感じていた。
ケイン自身も、このスキルを戦闘や策略ではなく、こうして仲間を助け、店を良くするために使えることに、深い喜びを感じていた。人の役に立つこと、誰かを笑顔にすること。それこそが、この力を使う真の意義なのかもしれない。
チームの結束を再び固め、運営上の課題をクリアした「灯火亭」。
しかし、彼らの前には、エリアナ商会との関係や、さらなる成長戦略など、また新たな課題が横たわっている。ケインの「見える化」能力は、これからさらに複雑化していくであろう問題に対して、どのような指針を示していくのだろうか。物語は、確かな手応えとともに、次なる局面へと進んでいく。
次回から、新章突入〜
ライバル出現か!?
明日、19時更新します。




