順風満帆? 見えてきた新たな課題
いよいよ、新店舗オープンです!!
新「灯火亭」のオープン景気は、一過性のものではなかった。
ケインの緻密なオープン前プロモーションと、リサの料理、そしてチーム全員の努力によって築かれた評判は確かなもので、店は連日、ランチもディナーも満席状態が続いていた。その活気は喜ばしいことである一方、深刻な問題も引き起こしていた。
「すみません、ご注文いただいたAランチ、もう少しお待ちいただけますか」
アンナが申し訳なさそうに客に頭を下げる。厨房では、レオンと新人料理人たちが、次々と入るオーダーに必死で対応しているが、明らかに追いついていない。ホールのスタッフも、料理の提供、片付け、次の客の案内に走り回り、額には汗が滲んでいる。
小さな連携ミスが頻発し、料理の提供が遅れたり、時にはオーダーが間違って伝わったりすることも起こり始めていた。
「みんな、すごく頑張ってくれているんだけど……このままじゃ、お客さんにも、スタッフにも負担をかけすぎてしまう」
閉店後、リサは疲れ切ったスタッフたちの背中を見送りながら、心配そうに呟いた。この輝かしい成功の裏で、確実に歪みが生まれている。
「やはり、一度きちんと現状を把握する必要がありそうですね」
ケインは静かに言った。勘や経験則だけで場当たり的な対応をしていては、根本的な解決にはならない。彼は、この状況を打開するために、自身の持つユニークなスキル――「マーケティングによる見える化能力」を本格的に活用することを決意した。
翌日の営業中、ケインはホールの隅に立ち、意識を集中させた。スキルを発動すると、彼の脳内には、現実の店舗とは別の、俯瞰的な情報空間が展開される。
(見える……!)
店全体のレイアウトが立体的に表示され、その上を色分けされた線が縦横無尽に動き回っている。青い線は客の流れ、緑の線はホールスタッフの動き、赤い線は厨房スタッフの動きを示しているようだ。ケインが注目したのは、線の密度と停滞時間だった。
(厨房内の赤い線が、特定の場所で頻繁に交差し、滞留している。調理台と洗い場の間の動線か? ここで無駄な動きと待ち時間が発生しているな)
(ホールの緑の線……ランチのピークタイム、12時から13時の間、入り口付近とレジ周りの密度が異常に高い。明らかに人員が足りていない)
さらにケインは、各スタッフの状況にも意識を向けた。すると、スタッフ一人一人の頭上に、ゲームのステータス表示のようなものが現れる。
【アンナ:疲労度85%(危険)/ストレスレベル70%(要注意)/モチベーション45% (低下傾向)】
【レオン:疲労度70%/ストレスレベル55%/モチベーション60%】
【新人A:疲労度65%/ストレスレベル80%(高)/モチベーション40%(低下)】
(やはり、アンナへの負荷が突出している。ホール全体をカバーしようと動きすぎているんだ。それに、新人スタッフのストレスレベルも高い……慣れない環境でのプレッシャーが大きいのだろう)
ケインは数時間にわたってデータを収集し、分析を進めた。スキルによって「見える化」された情報は、漠然と感じていた問題を、否定しようのない具体的な「事実」として突きつけてきた。
ケインのスキルが本領発揮!
続きは、明日の19時にアップします。
がんばれ、新生「灯火亭」のみんな!




