表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/112

再会と提携、女商人エリアナ

金貨をくれた謎の美女が再登場!


彼女の名前は、エリアナ・クレスメントさん

クレスメント商会の代表でした。

エリアナと名乗った彼女は、ケインと、そして少し緊張した面持ちのリサに視線を向けた。


「実は、『灯火亭』さんの素晴らしい評判を耳にしましてね。特に、あの収穫祭でのご活躍は見事だったとか。そして、その立て役者が、かつて私が馬車で出会った前途有望な若者ケインのことだだと聞いて、これは一度ご挨拶に伺わなければ、と思った次第ですの」


彼女の言葉は丁寧だが、その瞳の奥には、鋭い商人の才覚が光っているのをケインは感じ取った。これは単なる挨拶ではない。ビジネスの匂いがする。


「よろしければ、少しお時間をいただけませんか?  あなた方と、ぜひお話ししたいことがあるのです」


エリアナの提案で、店のテーブルの一つを使い、商談が始まった。アンナとレオンには席を外してもらい、ケインとリサがエリアナに向き合う形だ。



「単刀直入に申し上げますわ」


エリアナは切り出した。


「『灯火亭』さんのソースとドレッシング、我がクレスメント商会で商品化し、販売させていただくことはできませんでしょうか?」


その提案は、まさにケインたちが直面していた課題に対する、願ってもない解決策のように思えた。


「クレスメント商会には、食品製造の専門ラインと、王国各地への広範な流通網がございます。品質管理も万全ですし、レシピの機密保持も絶対にお約束いたします。あなた方の素晴らしい『味』を、より多くの人々へ、最高の形でお届けできると確信しておりますわ」


エリアナは自信に満ちた表情で語る。しかし、もちろん話はそれだけでは終わらない。


「その代わり、と言ってはなんですが、販売におけるロイヤリティ(売上に対する権利料)や、一定期間の独占販売契約など、いくつか条件を提示させていただきたいと考えております」


彼女が提示してきた条件は、大手商会ならではの強気なものも含まれていたが、決して無茶なものではなかった。


ケインは冷静に契約内容を分析し、リサと灯火亭にとって不利にならないよう、いくつかの修正点を提案し、粘り強く交渉を進めた。


エリアナもまた、ケインの的確な指摘と交渉力に感心した様子で、時折笑みを交えながらも真剣に耳を傾け、最終的には双方が納得できる条件で合意に至ることができた。



商談が終わり、エリアナが帰った後、ケインはリサに交渉の結果を詳しく説明した。


「すごい……クレスメント商会のような大きなところが、うちの商品を扱ってくれるなんて……」


リサはまだ信じられないという表情だ。しかし同時に、大きな組織と関わることへの不安も隠せない様子だった。


「大丈夫ですかね……私たちみたいな小さなお店が、本当にやっていけるんでしょうか……」


「大丈夫です、リサさん」


ケインは、不安げなリサの目を真っ直ぐに見つめて言った。


「これは、『灯火亭』がさらに大きく飛躍するための、またとないチャンスです。もちろん、リスクがないわけではありません。でも、僕が必ずリサさんとこの店を守ります。契約内容も、私たちに不利にならないよう、しっかり確認しました。あとは、私たちが最高の『味』を提供し続けるだけです」


その力強い言葉と、自信に満ちた、それでいて優しいケインの瞳に、リサの不安はゆっくりと溶けていった。


彼女は、この人となら、どんな困難も乗り越えていけるかもしれない、と強く感じていた。それは、ビジネスパートナーとしての信頼を超えた、もっと深い感情の芽生えだった。


「はい。ケインさんを信じます。私、ケインさんと一緒に、挑戦したいです!」


リサは、はっきりとそう言って微笑んだ。


ビジネスパートナーを超えた!!

その感情の名前は、何だーー!!


明日19時公開。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ