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商品化プロジェクトと製造の壁

幻のデミグラスソースと

魔法の万能ドレッシングの商品化に向けて。


ノリノリのチーム灯火亭でしたが・・・

商品化プロジェクトの計画を進めようとすると、すぐに大きな壁にぶつかった。それは「製造」と「品質管理」の問題だ。


「今の厨房で、お店の営業と並行して、販売できるほどの量のソースやドレッシングを作るのは、物理的に不可能です」


ケインは冷静に分析結果を伝えた。


「それに、瓶詰にして長期間保存するには、衛生管理や殺菌処理も徹底しないといけない。今の設備では限界があります」


「かといって、どこか他の工房に製造をお願いするのも……」


リサは不安げな表情を浮かべた。


「ええ、レシピが外部に漏れてしまうリスクもありますし、何より、リサさんが納得できる『灯火亭の味』を、他の人が完全に再現できるかどうかが問題です」


リサにとって、料理の味は妥協できない一線だ。どんなにビジネスとして魅力的でも、味が落ちてしまっては意味がない。


「自分たちで専用の工房を作るという手もありますが、それには莫大な初期投資がかかります。今の私たちには、まだ少し荷が重い……」


ケインも頭を抱えた。品質を維持しながら、安定した量を生産し、かつリスクを抑える。この難題をどうクリアすればいいのか……。チームはしばし、重い沈黙に包まれた。



そんな悩める「灯火亭」に、ある日、転機が訪れた。


店の前に、見覚えのある豪奢な紋章を付けた立派な馬車が停まったのだ。そして、その馬車から降りてきたのは、ケインがこの街に来る途中の乗合馬車で出会い、金貨をくれた、あの美しい女性商人だった。


「ごきげんよう。突然訪ねてしまってごめんなさいね」


彼女は優雅な微笑みを浮かべ、店に入ってきた。相変わらず、上品で洗練された雰囲気をまとっている。


「あ! あなたは、あの時の……!」


ケインは驚いて声を上げた。


「まあ、覚えていてくださったのね。ふふ、嬉しいわ。私の名前はエリアナ・クレスメント。クレスメント商会の代表を務めています」


エリアナさーーーん!

待ってました!


次回、明日19時アップです。

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