新たな仲間、アンナとレオン
あの『灯火亭』が人手募集中ですよ〜
数日後、募集を知った若者たちが、次々と灯火亭を訪れた。
ケインが前世の知識(少しだけ異世界風にアレンジした)を活かして面接を行い、リサが候補者の人柄や料理への興味などを確かめる。そして、二人は二人の若者を採用することに決めた。
一人は、快活で笑顔が素敵な女の子、アンナ。少しおっちょこちょいなところはあるが、人懐っこく、接客に向いていそうだ。
もう一人は、口数は少ないが真面目で、手先が器用そうな男の子、レオン。黙々と作業をこなすタイプで、厨房での下ごしらえや清掃などを任せられそうだ。
「アンナです! 一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします!」
「…...レオンです。よろしくお願いします」
対照的な二人だが、どちらも瞳の奥にはやる気がみなぎっている。こうして、リサを店主とし、ケインがアドバイザー兼サポート役、そしてアンナとレオンがスタッフという、新生「チーム灯火亭」が誕生した。
ケインは早速、簡単な業務マニュアル(イラスト多めで分かりやすくしたもの)を作成し、アンナには接客の基本とホールの流れを、レオンには厨房での基本的な作業手順や衛生管理について教えた。
リサは、二人に対して自身の料理哲学や、お客さんへの感謝の気持ちを伝えながら、具体的な調理補助や盛り付けのコツなどを丁寧に指導していく。
最初は、アンナが注文を間違えたり、レオンが緊張でガチガチになったりと、ぎこちない場面もあったが、リサが辛抱強く指導し、ケインが全体の流れを調整するうちに、チームは徐々に連携を取り始め、店は以前よりもスムーズに回るようになった。
何より、仲間が増えたことで店の雰囲気が明るくなり、リサの負担も軽減され、笑顔が増えたのが大きな変化だった。リサ自身も、「教える」という経験を通じて、経営者としての自覚と自信を深めていた。
そんなある日、ケインが街で情報収集をしていると、大きなポスターが目に飛び込んできた。
「年に一度の『グランセリオ大収穫祭』開催決定!」
街全体が一年で最も活気づく、最大のお祭りだ。様々な屋台が立ち並び、音楽や大道芸が披露され、領主様も臨席するという。
「これだ……!」
ケインは閃いた。これこそ、「灯火亭」の名前と味を、一気に街中に広める絶好の機会ではないか!
急いで店に戻り、ケインはリサとアンナ、レオンに収穫祭への屋台出店を提案した。
「収穫祭に、私たちが屋台を!? で、でも、そんな大きなお祭りに、うちみたいな小さな店が……」
リサは驚きと不安を隠せない。アンナとレオンも、期待と緊張が入り混じった表情だ。
「小さな店だからこそ、チャンスなんです!」
ケインは熱く語った。
「この祭りに来る人たちは、美味しいもの、楽しいものを求めている。そこで私たちが最高の料理とサービスを提供できれば、『灯火亭』の名前は一気に広まります。それに、これはチーム灯火亭にとって、初めての大きな挑戦です。これを成功させれば、みんなの自信にも繋がるはずです!」
ケインの言葉に、三人の顔に決意の色が浮かんだ。
「やりましょう! チーム灯火亭で、最高の屋台を作りましょう!」
リサが力強く宣言すると、アンナとレオンも「はいっ!」と元気よく頷いた。
チームっていいですよね〜
こんな店で働きたい |´-`)チラッ
明日も19時公開します!