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広がり始めるハズレスキル支援の波

「グランセリオ・ポテンシャル・ディスカバリー・プロジェクト」略して、GPDP!


フィンとエミリー。


二つの具体的な成功事例は、ハズレスキル支援プロジェクトの活動に大きな弾みをつけた。ケインが開設した相談窓口には、噂を聞きつけた様々な「ハズレスキル」を持つ人々が、最後の希望を託すように、次々と訪れるようになった。


「『微細振動感知』……この力、地震予知とか、建物の強度診断に使えませんか?」


「『害虫誘引』……嫌われるだけのスキルだと思ってたけど、逆にこれを利用して害虫駆除ビジネスとか?」


「『他人の夢共有』……カウンセリングとか、芸術方面で活かせないでしょうか?」


相談者の数は増え続け、ケイン一人では到底対応しきれなくなった。


そこでケインは、既に自身のスキルを理解し、社会で活躍し始めたフィンとエミリーに、新たな役割を依頼した。それは、自身の経験を語り、新しく相談に来た人々の悩みを聞き、共感し、励ますという、「ピア (仲間)サポーター」としての活動だった。


同じ「ハズレスキル」という苦しみを経験した者同士だからこそ分かり合えること、与えられる勇気がある。フィンは、味覚に関する相談に乗り、エミリーは、情報整理や記憶に関する悩みにアドバイスを送る。


そうして、ハズレスキル支援プロジェクトは単なる支援機関ではなく、ハズレスキルを持つ者同士が繋がり、支え合い、共に成長していくコミュニティとしての側面も持ち始めた。


エリアナからの本格的な資金援助も得て、ハズレスキル支援プロジェクトの活動拠点は拡張され、より機能的な組織へと進化していった。スキル特性を詳細に分析するための専用ルーム、能力を伸ばすための小規模なトレーニングスペース、そして相談者たちが安心して情報交換できる交流ラウンジなどが設けられた。


ケインは、相談者のスキルデータを匿名化して蓄積する「ポテンシャル・データベース」の構築を進め、そのデータを基に、協力してくれる企業や工房 (灯火亭やガロン工房はもちろん、エリアナの紹介で徐々に増えていた)との最適なマッチングを行うシステムの開発にも着手した。


これらの活動は、社会にも着実に波紋を広げ始めていた。ケインたちが作成し、エリアナ商会の流通網を通じて配布された小冊子『眠れる才能の呼び覚まし方~ハズレスキルと呼ばれた力が社会を変える~』は、多くの人々の手に渡った。


吟遊詩人バルトが新たに作った「フィンとエミリーの歌」は、酒場や広場で人気を博し、人々の間で「ハズレスキル」への関心と、もしかしたらそれは「宝物」なのかもしれない、という新しい視点を生み出していた。


「うちの村にも『植物対話』スキルを持つ子がいるんだが、ハズレスキル支援プロジェクトに相談してみようか」

「私の『高速計算』スキル、今まで役立たずだと思ってたけど、もしかしたら……」


社会の片隅で諦めていた人々が、再び希望を抱き始める。そんな小さな変化が、グランセリオの各地で起こり始めていた。


「ピアサポーター」誕生〜

いい感じに盛り上がってきましたーー!!


明日も19時に更新します。

どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m

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