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第二の才能、過剰記憶のエミリー

ハズレスキル相談窓口オープン!


窓口を開設して数日後。


一人の若い女性が、予約の時間に、おそるおそるといった様子で部屋に入ってきた。年は二十歳前後だろうか。少しやつれた顔に、不安げな表情を浮かべている。彼女の名前は、エミリーといった。


「あの、私……『過剰記憶』というスキルを持っているんです」


エミリーは、か細い声で語り始めた。彼女のスキルは、一度見聞きしたことを、どんな些細なことであっても、写真のように完璧に、そして永遠に記憶してしまうというものだった。それは一見、便利な能力に思えるかもしれない。しかし、彼女にとっては苦痛の種でしかなかった。


「忘れられないんです。良いことも、悪いことも、全部。頭の中が、常に情報でいっぱいで、整理がつかなくて……普通の会話についていくのも大変だし、仕事でも、細かいことばかり気になって、大きな流れを見失ってしまって。何度も失敗して、どこへ行っても『使えない』って言われて……もう、どうしたらいいのか……」


俯き、涙ぐむ彼女の姿は、かつてのフィンの姿と重なった。


ケインは、エミリーの話を優しく、そして真剣に聞いた。そして、スキルを発動させ、彼女の能力の特性を分析した。


(なるほど。単なる記憶力じゃない。これは、入力された情報を、タグ付けし、分類し、関連付けながら、超高速でデータベース化していく。驚異的な『情報処理・管理能力』だ。問題は、その処理能力に、彼女自身の感情や意識が追いついていないこと。そして、情報の『取捨選択』が苦手なことか……)


ケインは、彼女のスキルの本質と、それが引き起こす困難のメカニズムを理解した。そして同時に、その能力が持つ、計り知れない可能性にも気づいていた。


「エミリーさん」


ケインは、穏やかに語りかけた。


「あなたのスキルは、決して『使えない』ものなんかじゃありません。むしろ、使い方によっては、他の誰にも真似できない、とてつもない力を発揮する可能性を秘めています」


「……え?」


エミリーは、信じられないという顔でケインを見た。


「例えば……」


ケインは具体的な可能性を提示し始めた。


「膨大な市場調査のデータや、複雑な文献、あるいは難解な魔法の呪文。そういったものを整理し、分析し、そこから誰も気づかなかったような法則やパターンを見つけ出す。そんな仕事なら、あなたの右に出る者はいないでしょう。エリアナさんの商会なら、そういう分析官を必要としているかもしれません。あるいは、魔法研究所での古文書の研究や、王宮の記録保管所の管理といった分野でも、あなたの力は計り知れない価値を持つはずです」


ケインの言葉は、エミリーにとって、生まれて初めて聞く、自身の能力に対するポジティブな評価だった。彼女の目に、驚きと共に、ほんの少しだけ、希望の光が灯ったように見えた。


「私の力が……役に立つ?」


「ええ、もちろんです。ただし、そのためには、あなたのスキルを『制御』し、うまく『活用』するためのトレーニングも必要になるでしょう。情報の取捨選択、優先順位付け、そして、感情との切り離し方。そういったことを、一緒に学んでいきませんか?」


ケインは、エミリーに、具体的なトレーニングプランと、彼女の能力を活かせそうな協力パートナー (エリアナ商会の研究部門や、魔法研究所の知人など)への紹介を提案した。


今更だけど

ケインの見える化って

便利だなぁ・・・


明日も19時に、

よろしくお願いしますm(_ _)m

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