ケイン渾身のレポート完成、ハズレスキルに希望の光
ハズレスキル革命、プロジェクト第1号成功!
「フィンさんの活躍は、まさに私たちが目指すものの体現ですね」
ケインは、フィンの成長を記録したレポート『「絶対味覚」の覚醒 ~見過ごされた才能が灯火亭にもたらしたもの~』を完成させ、リサに見せた。レポートには、フィンのスキル特性の分析、彼が灯火亭でどのように活躍し、店の売上や評判にどれだけ貢献したかという具体的なデータ、そして何よりも、彼自身がいかに自信を取り戻し、前向きに生きるようになったかという感動的なストーリーが、ケインの「見える化」スキルによる客観的な視点も交えながら、詳細に記されていた。
ケインは、このレポートを、プロジェクトの協力者であるエリアナ、レナード卿、そしてガロンに提出した。彼らの反応は、ケインの予想以上に好意的だった。
「素晴らしい! これは感動的ですわ! そして何より、見過ごされていた『人的資源』がいかに大きな『投資効果』を生むかを具体的に示している! ケイン様、ハズレスキル支援プロジェクトへの本格的な資金援助、クレスメント商会として正式に決定させていただきます!」
エリアナは、ビジネス的な観点からもフィンの事例を高く評価し、プロジェクトへの全面的なバックアップを約束した。
レナード卿も、
「これは……国王陛下や王女殿下にもぜひお見せしたい。スキル至上主義が根強いこの国において、大きな議論を呼ぶでしょう。そして、それは良い方向への変化のきっかけとなるはずです」
と、国家レベルでの影響力に期待を寄せた。
ガロンも、レポートを読み終えると、
「……ふん、やるじゃねえか、あの味覚小僧も、そしてあんたもな。ウチの工房でもよぉ、もしかしたら、役に立つ『ハズレ』スキル持ちがいるかもしれねえな」
と、自身の工房での協力の可能性を考え始めているようだった。
フィンの成功物語は、ケインたちが意図的に広めるまでもなく、灯火亭の客たちの口コミや、エリアナ商会の従業員たちの噂話などを通じて、少しずつではあるが確実に街へと広がっていった。
「あの灯火亭で、ハズレスキルだと言われていた人が活躍しているらしい」
「なんでも、ケインというコンサルタントに相談すれば、自分のスキルの使い道が見つかるかもしれない」
そんな希望の囁きが、これまで社会の片隅で息を潜め、諦めに沈んでいた「ハズレスキル」を持つ人々の耳にも、届き始めていた。
この機運を逃すわけにはいかない。
ケインは、プロジェクトの次の段階として、ハズレスキルを持つ人々が安心して相談できる場所を作ることを決意した。エリアナの全面的な協力を得て、彼女の商会の広々としたオフィスの使われていない一角を借り受け、「ハズレスキル支援プロジェクト相談窓口」を試験的に開設したのだ。そこは、訪れる人のプライバシーに最大限配慮された、落ち着いた雰囲気の空間となっていた。
ケイン自身が、予約制で相談員を務め、訪れた人々の悩みを聞き、彼らの持つスキルの特性を「見える化」し、その可能性を探る、という活動を開始した。
相談窓口オープン!!
こういう場所で働きたい なぁ|´-`)チラッ
明日も19時に更新します。
どうぞよろしくお願いいたします。