守りから攻めへ! ケインの反撃スタート
活動再開です!
会議の中で、ケインははっきりと述べた。
「これまでの私たちの対応は、どちらかと言えば防御的でした。しかし、ナディール様の犠牲を目の当たりにし、もはやそれだけでは不十分だと痛感しました。保守派の力を削ぎ、彼らが内側から崩壊するような、より積極的で、戦略的なアプローチが必要です」
そして、ケインは自身のスキルを最大限に活用し、敵の「弱点」を徹底的に突くことを提案した。
「私が、サルメディア保守派……特に、奴隷制度維持によって最も利益を得ている連中の内部構造、資金の流れ、そして各有力者の個人的な『弱み』を徹底的に分析します。その情報を基に、最も効果的な打撃を与えられるターゲットを特定し、そこを集中して叩くのです」
それは、これまでの情報戦とは一線を画す、より踏み込んだ、そして危険を伴う作戦提案だった。しかし、ナディールの死を経験した改革派のメンバーたちは、もはや躊躇してはいなかった。
「よかろう。ケイン殿、貴殿の分析能力を信じよう。我々も、これ以上仲間を失うわけにはいかん。覚悟はできている」
ハキムが、代表して力強く答えた。
ケインは、その日から数日間、再び分析作業に没頭した。エリアナから提供される最新の機密情報、レナード卿が集めた外交情報、そしてスキルによる「見える化」能力。それらを組み合わせ、サルメディア保守派という巨大な敵の、脆弱な部分を探り当てようとした。
彼の脳内には、複雑な人間関係、金の流れ、権力の構造が、詳細なマップとして描き出されていく。
(奴隷商人ギルドの最大手、ボルコフ商会。最近、危険な投機に手を出して、深刻な資金難に陥っているな。ここを叩けば、ギルド全体への影響は大きい)
(保守派筆頭のマルティン侯爵、表向きは敬虔な聖職者のようだが、裏では若い奴隷を侍らせているという黒い噂がある。確たる証拠があれば、彼の権威は失墜する)
(大農園主のバルガス (ゲオルグとは別人)、彼は、息子の放蕩ぶりに頭を悩ませている。息子をうまく使えば、父親をコントロールできるかもしれない)
(そして、ギルドと貴族の間には、見えない対立と不信感がある。ここを煽れば、内部崩壊を誘発できる可能性も……)
ケインは、まるでチェスの盤面を読むように、敵の弱点と、そこを突くための最適な手筋を組み立てていった。
分析結果と具体的な戦略案は、秘密裏にサルメディアの改革派へと伝えられた。そして、ケインのシナリオに基づき、彼らは慎重かつ大胆な行動を開始した。
見える化の弱み分析が、我ながら恐ろし過ぎる。。。
明日も19時に。
どうぞよろしくお願いいたします!