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二人三脚での再建プロジェクト

試食の次の施策は、何だ何だ!?

「まず、チラシと掲示板です。この街の人々に『灯火亭』を知ってもらうために、情報を積極的に発信します」


「チラシですか? この辺りのお店も時々、ギルドの掲示板に貼り紙をしていますけど……」


「ええ。ただ貼るだけじゃなく、『おっ?』と思わせて、足を運びたくなるような工夫が必要です。例えば……」


ケインは前世の知識を総動員し、キャッチコピーの重要性や、限定メニュー、割引クーポンの効果などを説明した。


「なるほど! ただ『定食あります』じゃなくて、『一日限定10食! 幻のデミグラスソースを使った煮込みハンバーグ定食! このチラシ持参でスープ一杯サービス!』みたいに書く、とか……?」


リサが目を輝かせながらアイデアを出す。


「素晴らしい! まさにその通りです! リサさんの料理への情熱が伝わるような、熱いメッセージも添えましょう!」



次にケインが指したのは「口コミ」と「リピーター施策」だ。


「この世界にはSNSはありませんが、人の『口コミ』の力は絶大です。そして、その口コミを意図的に広げる仕組みを作ります。同時に、一度来てくれたお客さんに、また来てもらうための『お得感』や『特別感』も演出したい」


「口コミを広げる仕組み? それに、特別感……?」


リサは少し考え込む。


「例えば、『灯火亭ファンカード』みたいなものを作るのはどうでしょう?」


ケインは具体的なアイデアを説明した。


「まず、来店してくれたお客さんに、お店の紹介カードを渡します。そのカードには、紹介者(カードを渡したお客さん)の名前を書く欄と、紹介された人(新規のお客さん)の名前を書く欄を作るんです。そして、紹介された人がそのカードを持って初めて来店してくれたら、紹介者の方にも、紹介された方にも、何か小さなサービスを提供するんです。例えば、ドリンク一杯無料とか、デザートの小皿サービスとか」


「まあ! それなら、紹介した人もされた人も嬉しいですね! それに、私にもできそうだわ!」


リサはパッと顔を輝かせた。この方法なら、コストもそれほどかからず、お客さん同士の繋がりで自然に店の評判が広がっていく可能性がある。



その日から、ケインとリサの二人三脚での「灯火亭」再建プロジェクトは、さらに加速した。昼間はリサが店を切り盛りし、ケインは街に出て市場調査の続きや競合店の分析を行う。


そして夜、閉店後に店で落ち合い、その日の報告をし合いながら、チラシの文面を考えたり、ファンカードのデザインを相談したりする日々が続いた。


ケインが考えたキャッチコピーの案を見て、リサが「こっちの方が、私の料理への気持ちが伝わるかも」と修正案を出したり、ファンカードのサービス内容について、「これなら原価的にも無理がないかな」「こっちの方がお客さんは喜ぶかな」と二人で頭を悩ませたり。作業の合間には、自然と雑談も増えた。


「ケインさんは、どうしてそんなに色々なことを知っているんですか? マーケティングコンサルタントって、そんなことまで考えるお仕事なんですか?」


リサが無邪気に尋ねる。


「ええ、まあ……色々な事例を勉強したり、試行錯誤したりする中で、少しずつ身につけたという感じですかね」


転生前の話はできないので、ケインは言葉を濁しながら答える。


「それにしても、ケインさんが来てくれてから、お店がどんどん変わっていくのが、なんだか夢みたいです」


「それは、リサさんの料理が本当に素晴らしいからです。僕がやっているのは、その魅力を、まだ知らない人にちゃんと届けるための『翻訳』みたいなものですよ」


「翻訳……」


リサはその言葉を、じっと噛みしめるように呟いた。


ケインもまた、リサという女性に惹かれるものを感じていた。決して器用ではないかもしれないが、料理に対して驚くほど真摯で、努力を惜しまない。そして何より、彼女の作る料理には、食べる人を幸せにする温かさがあった。


この店と、彼女の笑顔を守りたい。


その思いが、ケインのモチベーションをさらに高めていた。


いい感じになってきました〜


次回、明日19時に公開します!

どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m

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