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神様の一族!?

「あれ?」



 俺は何故か一面真っ白な場所に立っていた。そこに凄くきれいな女の人が現れた。



「ようこそ。というと嫌味になってしまうでしょうか?今自分がどんな状況かは分かりますか?」



 そう女の人が言うと自分のこれまでのことを思い出した。そうだ。俺は確かに自分で命を絶ったはず。なんで生きてるんだ?



「生きているわけではありませんよ。今はざっくり言ってしまえば精神だけの状態で、その記憶を頼りに肉体を構成しているにすぎません」



 ということはここは精神世界みたいなところってわけか。ん?というかこの人さっき俺の心の疑問に答えた?もしかしてここじゃ心の声駄々洩れなのか!?



「いえ、そういうわけでもありません。私はこの星の管轄をしている神の1柱ですからね。心の声を聞くのは造作もないのです」



 俺の心の声と会話しないでくださいよ!?というか俺が声に出して言えばいいのか。



「えっと、はじめまして神様?斑目直人と申します。神様がここに居るということはここがあの世ということでしょうか?」



「そうであるとも言えるしそうでないとも言えます。ここは現世と幽世の中間地点のような場所で、このまま流れに身を任せると魂の洗浄が始まります。その流れに乗ってしまうと例え神でも特定の人物の魂を呼び寄せることは不可能となるため、こうやって会いに来ました」



「なぜわざわざ神様自ら?失礼ですが、神様からみたら俺のような人間は地球という星の1生物でしかないと思うのですが・・・」



「それはあなたが私の愛した人の子の子孫、そして私の子孫でもある斑目一族のものだからです」



「は?」



 俺は完全にフリーズした。言っている意味は分かるがいろいろ受け入れるのに精神が追い付かない。



「まぁ驚くのも無理はありません。それくらい荒唐無稽な話でしょうからね」



「いや・・・いやいやいや!?ちょっと待ってください!?それじゃあ斑目一族は神様の一族でもあったんですか!?」



「そういうことになります。私がまだ神見習いのとき、先代の目を盗んで下界に遊びにいったんです。そのときに斑目 源次郎(まだらめげんじろう)と出会い恋をし、愛を育み子をなしました。しかし私は見習いとはいえ神の末端、ずっと現世にいることは叶わなかったのです。そこで私は事情を話し子を源次郎に託し神界に戻ることになったのです。最初は源次郎も驚いていましたが、覚悟をした(おとこ)の顔で子は俺に任せろと言ってくれたのです。その顔がまた素敵で」



 神様の説明が始まったかと思ったら、俺の祖先である源次郎さんとの惚気が始まってしまった。



「あの・・・神様?」



「は!?こほん・・・失礼しました。そんなわけで私は神界で神になるために修行をしました。神の時間から見ればあっという間ですが、私が神として地球を管理するようになったときには既に数百年たった後でした。私が神となって管理し始めて真っ先にしたのは、私と源次郎の子孫がどうなっているのか確認することでした。神の子孫でもある斑目一族はすぐに見つけることが出来ましが、それからの斑目一族については直人さんも知っている通りです。」



「欲に目が眩んだものたちによる弾圧・・・ですね?」



「ええそうです。それを見たときは本当に悲しかった・・・私たちの子らが1人また1人と殺されていく様は・・・現世に介入することが許されない地球では、直接的な干渉は許されていませんからね・・・」



「地球では?」



「ええ。これからが話の本題ですが、直人さんには私の管理している星の中でアルカディアという星に行っていただきたいのです。」



「どうして俺なんです?それに俺はもう生きていたくない・・・神様なら俺がなぜ死ぬことになったのか知っているでしょう?」



「ええ。存じています。」



「だったら・・・」



「直人さん。生きるのに臆病になってしまうのは痛いほど伝わってきます。ですがあなたでなければいけないのです。あなたは私が確認した歴代の斑目一族の中でも群を抜いて目の才能に秀でています。今アルカディアは戦乱の時代に突入させ、封印した邪神を復活させようとしている人たちがいます」



「邪神!?それこそ神様の出番ではないのですか!?」



 そういうが神様は申し訳なさそうに首を横に振って否定する。



「邪神とは言っても、もとは人間である魔術使いの成れの果て。なまじ魔術の才能があったばかりに冗長して、自らが神になろうとした愚か者です。斑目一族である直人さんが才能を開花させれば十分に倒せる相手でしょう。それにアルカディアは神として干渉出来るとしても武力での介入は極力避けたいのです。私が力を使ってしまえば下手をすると星そのものを破壊しかねません」



 それはやべぇ。



「それとこれは神からではなく斑目一族の祖先としてのお願いです。直人さん。どうか幸せになってください。人を愛し、子を持ってください。」



 それはあの日父さんに言われた言葉だった。



「・・・っ!その言葉は卑怯じゃないですか?」



「ふふふ。神様ですからね。それにあなたは私の可愛い子であり孫であり子孫なのです。子の幸せを望まない親は居ませんよ?」



 もう枯れ切ったと思っていた涙がこぼれ始めた。神様はそんな俺を愛おしそうに胸に抱く。



「ほらほら。そんなに泣いたらせっかくの漢前(おとこまえ)が台無しですよ?」



「今なんか男の感じ違くなかったですか?」



 俺は照れ臭くなってついツッコミを入れてしまった。



「ふふふ。そんなことはありません。これであっていますよ。」



「そうですか・・・すいません、もう少しだけこのままで。」



「あらあら。甘えん坊ですね。いいですよ。いつまででもこのままでいましょう。」



 そういうと神様はよしよしと俺の頭を撫ででくれた。












「・・・さて、それでは俺はこれからアルカディアへ行けばいいのですか?」



 顔が赤いのは自覚しつつも恥ずかしくて若干ぶっきらぼうな感じになってしまった。



「あら?もういいのかしら?私はもっとよしよししていても良かったのですが・・・」



「いえ!!!もう結構なので!!!」



 恥ずかしくて死んでしまいます!主に心が!



「ふふふ。ではそういうことにしておきましょう。ですが、アルカディアへは今すぐというわけではありません。直人さん、私はまだアルカディアがどんなところかはお話ししてないですよ?」



 そうだった!!あまりに恥ずかしくていろいろ先走りすぎた!!



「えっと、どういうところなんでしょうか?」



「私の管理するアルカディアは、剣と魔法の異世界ファンタジー世界と言えば直人さんならすぐに想像つきますか?現世では今そういう世界が流行っていると聞いているのですが」



「え?ああ、はい。確かに俺の見ていたアニメやネット小説なんかは、よくそういうテンプレのようなものが流行っていましたが、それも最近では全然でしたよ?流行ってたのは確か8年くらい前のはずですが」



 神様は一体どこでそんな情報を仕入れてきたんだろうか。神様が神界にパソコン持ち込んでネット小説見てたりとか?・・・いやいやないないない。



「ごほん。直人さんがそのてんぷら「テンプレですね神様」・・・てんぷれ?を知っているのなら話は早いです。ただ直人さんは戦闘の経験もなく、目の能力も開花しているとは言えません。なのである程度の実力になるまでここで修行していただくことになります」



「修行ですか?それはありがたいのですが時間は大丈夫なのでしょうか?」



「それは大丈夫ですよ。ここの空間は他とは時間の進みが違い、1年たとうがほぼ0なのです!!これがご都合くおーつというものなのでしょう?」



 どうしよう神様が凄いドヤ顔だ。訂正して「訂正?」いいものか。ってメッチャ心読んでくるじゃん!?・・・しょうがない。



「えっと、神様・・・ドヤ顔してるところ非常に言いにくいのですが、ご都合クオーツではなくご都合クオリティですね・・・ははは・・・」



「!!!!」



 神様メッチャ顔赤い。うん。とりあえず良いもの見れたと思っておこう。神様メッチャ可愛い。とりあえず流石にこの空気はいたたまれないので、気になることを聞いてみるか。



「神様。俺の父さんが亡くなるときに周りの時を止めていただけましたよね?あれは地球への干渉だと思うのですが良かったのですが?」



「いえ、正直に言ってしまうと良くはありません。ですがあなたたち2人は血が薄れていたとはいえ神の一族。それに父親のほうはあなたに伝えたいことがあるままでしたからね。かなり無理をしましたが人間で言うなら3日寝込む程度で済みました」



 いやそれかなり無理してない!?神様が死んでしまうことがあるのかは知らないけどそういうことにならずにすんで良かった。



「まぁそれからさらに創造神さまからかなりキツいお説教もありましたが、概ね問題ありませんよ」



 うふふと微笑を添える神様。絶対ヤバいことになってたんだろうなぁ。改めて感謝しておこう。



「それともう1つ、ここの空間が他の空間と時間の進みが違うのなら、神様見習いから神様になるまでの修行はここでやっておけば良かったのでは?」



 そうすれば源次郎さんと自分の子供も観察出来ただろうに。



「・・・です」



「え?神様すいません聞こえませんでした」



「だから罰なのです!!!先代の神が私が現世に遊びにいったことに対する罰がこの空間を使用せずに見習いを卒業することだったのです!!!あの陰湿ババアがやりそうなことなのです!!!」



 あ、やばい。地雷踏んだ気がする。



「そのせいで同期にはさっさと置いてけぼりにされ、後輩にもそのまた後輩にもどんどん抜かれていく始末」



「神様。聞いた俺が悪かったのでそのへんで・・・」



「は!?そうですね。失礼しました。とにかく直人さんには私の眷属をつけて修行していただきます」



 そう神様が言ってパチンと指を鳴らすと眷属の人が2人出てきた。1人は白い鎧と白い兜を被ってて顔がよくわからないが雰囲気というかそういうのから男の人っぽい。もう1人は完全に見た目10歳くらいの子供の赤髪で長髪の女の子なんだけど。



「彼らが私の眷属のゼルクとライラよ。鎧を着ている子がゼルクで直人に剣の手ほどきをしてもらうわ。もう1人の子がライラ。魔術の基礎を叩き込んでくれるわよ。」



「ゼルクと申します。剣術ならばお任せください。魔王すら秒殺するほど強くしてみせましょう。」



 いやそこまで怪物にはなりたくはない。しかしアルカディアは武力がものをいう世界だろうから自衛のためにも強くはならないとか・・・



「ライラじゃ。上級魔術程度ならすぐに覚えさせてやるゆえ大船に乗った気でいるのじゃな!!はっはっは!!」



 一気に不安になったぞ。しかものじゃロリかよ。あの見た目と言いわざとなのか?



「まぁゼルクは堅物だしライラはお調子者のところはあるけど、この2人の言ったことを守って修行してくれたらすぐに強くなれるから・・・多分」



 最後ボソッと言ってますけど聞こえてますからね神様!?



「はっはっは!久しぶりの指導なのじゃ!!前の眷属見習いは気概が足らんくて3日ももたんかったからのう!せっかく人が丁寧に教えてやっとるというのに!」



 神様!?人選ミスってますよ神様ーーーー!?



「お主は素人に教えると言うことがわかっておらぬのだ。まず1に体力2に体力だぞ。戦場でのスタミナ切れは即、死に直結する。1人で万を相手にするなら体力作りに励まんでどうする。」



 神様!?もう1人のほうはまともかと思ったら思った以上の脳筋っぽいんですが神様ーーーーー!?



「ふん!魔術師が体力作りばっかりやってどうするのじゃ!!この脳筋騎士が!!!」



「なんだと!?言わせておけばこの魔術バカが!!」



 この2人混ぜるな危険では?



「はいはい。そこまでよ2人とも。仲がいいのは分かるけど「「仲良くありません!!」」いつまでも直人さんを待たせてられないんだから修行場を構築するわよ。」



 そういうと神様はまたパチンと指を鳴らす。すると白かった空間に空と大地が広がり奥に神殿が見える。



「とりあえず修行しやすいようにここの場所を作り変えました。地球と同じように朝昼夜の概念があります。飲食は必要のない体ではありますが、娯楽として食べたり飲んだりする眷属は多いので必要でしたら言ってください。それと寝るときは奥に見える神殿で休んでくださいね?」



 俺生きてアルカディアに行けるかな?死んでるけど。








 とある眷属たちの談話室



「なぁ聞いたか?神様がゼルク様とライラ様を連れてアルカディアに行かせる地球人を鍛えてるらしいぞ」



「うへ!?うわぁご愁傷様・・・その地球人大丈夫かな?」



「さぁなぁ。神様がなさることだからきっと大丈夫なんだろうが、正直強くなれるとしてもあのお2人に鍛えてもらうのはちょっとなぁ・・・どちらか片方でも悪夢でうなされるのに・・・」



「なぁ?その話ちょっと聞かせてくれないか?」



「ん?おお新入りじゃないか」



「新入りはやめてくれよ。もう8年はいるんだぞ?」



「とは言っても新入りが入ってきてからは新入りは居ないからなぁ。あとなんか言いやすい」



「おいおいからかってやんなよ。それで?何が聞きたいんだ?」



「ああ。その地球人の名前は分かるか?」



「ん~確か直人とか言ったかな?なんでも、何とかの一族で目に特殊な能力があるとかいう。そういやお前の目も特殊能力持ちだったな」



「そういや新入りもここに来るとき神様から直接見つけてもらったんだったな。俺たちは他の上位の眷属様からのスカウトだったが」



「ああ。あの時はビックリしたよな。地球での生を終えたらまさか神様の眷属にスカウトされるなんて」



「まさか死んだ後も人生何があるかわからないなんて思ってなかったよな」



「それな!!そういえば聞きたいことはそれだけで良かったのか?」



「あ、ああ。助かった。これは情報料だ。取っておいてくれ」



「お!?話の分かる新入りだぜお前は!サンキュー!」

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