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話し合いましょう

(着いてきてって言ったものの、どこに行こう…)


流石に2人きりになる訳にはいかないし、少し人目がある方がいい。

こんな早朝に開いているカフェはないし…そんなことを考えていると公園が目に映った。


公園といっても遊具はなくて、木や花が植えられた花壇と等間隔に置かれたベンチがあるだけの広場のような場所だ。


ベンチもあるし丁度いいと公園に向かう。

オオカミ獣人は大人しく私の後をついてくる。



公園に着くと早朝だからか誰もいなかった。

念には念を入れすぐ逃げられるように入口から1番近いベンチに腰掛けた。


オオカミ獣人はフィオナが座っているベンチを見つめて座ろうとしない。


(……………?)


フィオナも訝し気にオオカミ獣人を見つめると、目があった。

するとオオカミ獣人は少し慌てながら私と同じベンチの端っこに座った。

これ以上ないくらい端っこで多分お尻の半分くらいしか座れていないだろうに、私から距離をとってそわそわしている。


(咄嗟に連れてきたけど沈黙が気まずい…何て話を切り出そう…)


そんな事を考えていると、そわそわしていたオオカミ獣人が口を開いた。


「すまなかった…まさか怪我をさせるとは思っていなかった…昨日の夜も声を掛けようと思っていたのに、いざ声をかけて逃げられたらと思うと体が勝手に…」


「…怪我はまあ…仕方ないにしても攫うのは…とても怖かったし殺されると思ったわ。

………………これあなたの荷物よね?どうしてこんなに傷薬を持ってるの?」


「すまなかった……どれが良く効くのか分からなかったからギルドで人族に評判の良いものを買ってきた」


「こんなに…?」


「……傷が残ったら大変だろう…だが傷はどうした?治療士に依頼治して貰ったのか?」


「あっ…先輩に治療してもらったの。私も治療士だから」


「…そうか」


「………………………………ねぇ、どうして昨日と毛の色が違うの?」


沈黙に耐えられなくなって、疑問だったことを聞いてみる。


「………………お前が言ったんだろう」


「えっ?」


(私何か言ったっけ?………全然覚えてない!!)


考え込んだ私を見かねてかオオカミ獣人がボソボソと言った。


「………汚いやつとは付き合えないと…」


しゅんとしたオオカミ獣人は尻尾が垂れて狼ではなく犬のようだ。


(…………そういえば!最後のとどめに吐き捨てた気がする!!!)



「…そっそれでお風呂に入ってきたの?」


オオカミ獣人はコクッと頷く。

その仕草も主人に褒めて貰いたいわんこのようで少し可愛いと思ってしまった。…褒めないけど。



「でもシルバーの毛が黒く見えるくらい汚れるって、どれくらいお風呂に入って無かったの…?」


「……獣人はあまり風呂に入らない………」


「そうかもしれないけど毛の色が変わるくらいお風呂に入らない獣人も珍しいと思うけど……犬も水が苦手なのね」


「…犬じゃない」


ぼそっと呟いたつもりがばっちり聞こえていたようだ。


「…ふふ!」


「?」


「ねぇ!あなたのお名前は?」


「……ジンだ」


「ジン…」


「お前は?」


「えっ?」


「…名前」


「あぁ!フィオナよ。教会で治療士をしているの。

あなたは最近噂のごろつきの獣人集団の1人なの?」


一度わんこに見えてしまうと、もう怖いと思えなくなった。

こうなったら気になることは遠慮せず全部聞いてしまおう。


「……違う。…俺はギルドに所属している。最近良く間違えられるが、ごろつきの集団には属していない。その証拠に袋にギルドカードが入っていただろう」


(そっか!ごろつきじゃなくて、ちゃんと仕事をしているのね。最初はごろつきにしか見えなかったのに…ってそういえば酒のお酌を要求されてたんだった)


「最初ぶつかった時、お詫びに酒の酌をしろってごろつきがみたいに絡んできたじゃない。誰だってあの場にいたら、ごろつきだって思うわよ。」


「……………すまない」


すごく反省してるみたいだ。

尻尾だけじゃなく耳まで下向きで、表情や言葉以外で感情がよく分かる。



(やっぱりわんこだわ…!)




ようやく!ようやく狼さん名前が出せました!

やっぱり10話では終わらなさそうです。

もし良かったらこの先も読んでいただけたら嬉しいです。

ここまで読んで頂きありがとうございます!

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