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今世でも社畜ぶりを発揮しています


「昨日はごろつきが酒場で大暴れだったみたいよ〜。今日一般診療は忙しいかもね〜」


今日の私の担当は一般診療なので、この治療院の仕事の中で1番忙しく魔力を使う当番の日だ。

ただでさえ忙しいのにごろつき達が来てから更に忙しくなった。

本当に早く捕まってほしい。



「先輩…そういえば私昨日ごろつきに絡まれました…」


「……はあっっ!!??」


その後、昨日のぶつかってから通りすがりのおばちゃんに助けられたところまで一通り説明すると、

先輩は昨日オオカミ獣人につけられた傷を治療してくれた。

まだ残っていた線が綺麗に消えた。


「……はぁ〜。ほんと今回は助けて貰えたからいいけど気をつけてよね…」


「すみません」


先輩も狙われる可能性があるので注意喚起のつもりだったが、かなり心配をかけてしまったようだ。


先輩も危ないとは感じてくれたみたいで、行き帰りは彼氏に送り迎えを頼むそうだ。

怒られたけど伝えられてよかった。



「フィオナ〜?そろそろ治療室の用意しなくて大丈夫??」


「………あっ!!!」


治療開始まで後15分しかない!

急いで治療室の用意をしなければ患者さんを待たせてしまう。


「先輩!治療してくださってありがとうございました!では失礼しますっ」


ヒラヒラと手を振っている先輩にお辞儀して急いで治療室まで走る。


治療室の準備といっても床を軽く掃いて、患者さんを座らせる椅子を拭き寝かせるベットを整えれば準備完了だ。


「お待たせしましたー!最初の方から治療室に来てくださーい!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「………ふぅー。そろそろ受付終了ね!」



今日の治療院は昨日ごろつきが暴れたと聞いていたが、いつもより落ち着いていて夕方には並んでいる人はいなくなっていたのだが、終了時間間際に犬獣人のお母さんがぐったりした子供を抱えて飛び込んできた。


軽くパニックになっているお母さんが子供をベットに寝かせると、水を飲ませ少し落ち着かせてから話を聞く。

ここ数日子供の高熱が下がらず少し前に血を吐いてしまったようで急いで治療院に連れてきたらしい。


血を吐く程ならかなり重症の可能性が高いので、すぐにベットに寝ている犬獣人の子供に魔力を当てて悪い部分を探す。


私の治療のイメージはまず体全体に魔力を当て、たくさん魔力が吸収されるところが治療するべき場所だ。

目に見えてわかる傷などはその場所から魔力を当てていくが、病気で治療する部分がわからない場合や患者さんに意識がない場合はスキャンする感じで最初に全体を見ていく。

目に見えてわかる傷があってもその傷を治療してから全身のスキャンは必ずする。


なぜなら頭痛が肩こりからくるように痛む場所がその痛みの原因とは限らないからだ。

万能の力があっても少しの見逃しで亡くなる患者もいることを先輩から叩き込まれた。


私自身も力が足りず救えない命を見てきたからこそ、とても大事なことだと思っている。 



犬獣人の子供は見た目では症状が分からないので体を一通りスキャンすると全身に魔力が吸い込まれていく。


(全身…?いやこれは血液に吸収されているのね…)


おそらくだが転んだりしてできた傷から入った細菌が血管内に入り込み増殖してしまったのだろう。

獣人は体の造りが人間より頑丈で、菌からくるほとんどの感染症には自分の免疫力で対処できてしまうのだが、稀に体力の少ない子供が重症化することがある。

体が発熱で菌に対抗しているが菌の増殖に追いついていない。


(血液から内臓にまで菌が侵食して荒れているから吐血してしまったのね…このままじゃ体力がもたないわ)


子供ではあるが内臓と身体中の血液に魔力を当てて治療しなければならない為、かなりの魔力量が必要になる。


(できれば2人以上で治療したいところだけど、もう治療士達は帰ってしまった…)


一般診療の他に貴族やお金持ちの担当の日があるのだがこちらは基本予約制になっていて、

その日の予約が終われば早く帰ることができる。

予約が少なくて一般診療が混んでいれば助っ人として治療することはあるが、

今日は一般診療も落ち着いていて最後まで残っていた先輩も帰ってしまっている。


魔力も残っているし帰る気力が残ればいい。

残業決定だ、覚悟を決めよう。


「お母さん安心して下さいね。息子さんは必ず治します」



犬獣人のお母さんは初めてほっとした表情を見せてくれた。




オオカミさんを出すことなく2話も進んでしまいました…

次の話にはオオカミさん出すつもりなのでよかったら読んでいただいけると嬉しいです!

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